「PK、フォーン・ホーム」PK りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
PK、フォーン・ホーム
インド映画の『PK ピーケイ』は、監督のラージクマール・ヒラニと主演のアーミル・カーンは『きっと、うまくいく』のコンビ。あの映画も面白かった。
留学先のベルギーでパキスタン人青年と恋愛をし、悲恋の末に帰国したジャグー(アヌシュカ・シャルマ)。
テレビ局に勤める彼女は、ある日、電車内で「神様を探しています」というチラシを配る青年(アーミル・カーン)を見かける。
これば番組のネタになると思った彼女、留置場に入れられた「神様お探し青年」のこれまでの話を聞くと・・・
というところから始まるハナシだが、巻頭から「神様お探し青年」が実は宇宙人であることが示され、宇宙船を呼ぶためのリモコン装置を盗まれて取り返そうとしていることがわかる。
リモコン装置の行方を尋ねたところ、「そんなことは、神様にきけ!」と一喝されたことで、「神差が探し」が始まったというもの。
ありゃりゃ、無垢な者が、その無垢さにより世間に影響を与えるというハナシは、1979年のハル・アシュビー監督『チャンス』を彷彿させるが、インド映画だけあって泥臭い。
泥臭い上で、さまざまな神様を信じていることの矛盾と、神を利用している宗教屋の胡乱さを、かなり直球勝負で描いていて笑わせられる。
そんな神様ネタが全面に繰り広げられるが、骨子的には『E.T.』にボーイ・ミーツ・ガールものを絡めたもので、これまた直球だ。
短躯マッチョの体型に、彫が深くてギョロ目のアーミル・カーンは、無表情で「ターミネーター」も思い出させるが、基本的にはバスター・キートンの線だろう。
冒頭に、ジャグーのベルギーの悲恋が延々描かれて、ありゃ?っと思ったが、これが大団円の伏線になっているあたり、脚本は結構うまい(とはいえ、予想はつくけれど、その予定調和的なところも好ましい)。
ということで、相当粗っぽいつくりだけれど、気分よく愉しめた一遍。