「ちゃんと作れや」シン・ゴジラ KIDOLOHKENさんの映画レビュー(感想・評価)
ちゃんと作れや
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この映画のテーマは、日本が大きな災害から立ち直る姿だと思う。地震、そして原子力発電所の崩壊。ゴジラは「いつか必ずまた来る次の地震」の象徴であり、ゴジラを止めたポンプ車は、福島原発事故で爆発を防いだ消防ポンプを連想させる。そういう現実の日本の姿を象徴として描こうとした、その意欲には私は大いに賛辞を送りたい。
だが——正直に言えば、面白くはなかった。なぜクライマックスでゴジラが“眠っている”のか?観客は最後に、怪獣が暴れまわる姿を求めている。例えばメカゴジラが登場し、死闘の末にゴジラの口をこじ開けて薬液を注ぎ込むようなシーンがあれば、観客は熱狂しただろう。にもかかわらず、この映画はそうしなかった。
理由はおそらく「予算」だ。日本映画は、有名な原作や人気タレントを使い、ネットやテレビCMで宣伝さえすれば、ある程度の興行が成り立ってしまう。だから製作会社は「上手な手の抜き方」を覚えてしまった。つまり、金をかけないところには徹底的にかけない。本作もその典型で、もしクライマックスにしっかりお金を投じていれば、5倍も10倍も面白くなっていたはずだ。
上映後、隣にいた彼女からこう言われた。
「もう二度と日本映画には連れて行かないで」
…ああ、なんとも情けない日本映画である。
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