「「全弾命中!」 これこそが究極のリアリズム!」シン・ゴジラ レオンさんの映画レビュー(感想・評価)
「全弾命中!」 これこそが究極のリアリズム!
かなり、部分的な事から話します。
今までの怪獣映画は、砲弾が怪獣に向けて無数に発射され、直撃する弾もあれば、体を大きく外れる弾もありました。 (私はまだ10代の頃から不思議に思っていました)
自衛隊(あるいは他国の正規軍)が本気に砲弾を撃てば、数十メートルもある巨体を外すはずがないのです。
戦車であれ、ヘリであれ、戦闘機であれ、その機を任されている者は下士官以上の上級軍人で、
最新戦闘機のパイロットともなると、中佐や大佐(将軍のすぐ下の位)などの、精鋭エリートが搭乗している事も多いのです。
当然、1発の砲弾でさえ、必ず命中させるのが任務なので、
当たって当たり前のはず!
それをこの映画はやっと、当然のごとく見せてくれました。
ゴジラとの最初の対峙は4機の攻撃ヘリが、
回転式機銃で打ちまくりますが、全弾、"顔面"に命中します!
隊員が「機銃、全弾命中!」と通信。
そして次の戦車部隊は、
ゴジラの脚部、しかも右足のひざあたりに攻撃を集中させます。
片足を損傷させて、進行を阻止するのが狙いです。
この映画はそういう説明を、台詞でなく、映像で見せてくれてます。
いや~このリアルで、本物志向の映像表現にしびれました。
はっきり言って、戦闘が始まるまでの、政府首脳陣のくどい"やりとり"がリアルですが、少し嫌気がさしていました。
が、その思いは、このシーンで吹っ飛びました。
変態前のゴジラがいかにも着ぐるみ的(特に目が・・)だったり、
無数の建造物が破壊される事に政府が許容している様な対応に違和感があったり等、残念なシーンも多少ありますが、
後半にゴジラが、背びれからも○○を発するシーンや、
倒す為の作戦がリアルに表現されている点など、目を見張る描写も多く、
今までのゴジラ映画とは一線を画す作品だと思います。
今作でゴジラに興味持たれた方は是非、
第一作目の「ゴジラ」(1954年)も、ご覧になって下さい。
白黒で、もちろんCG等ない特殊撮影と効果だけの破壊シーンに、
物足りなさを感じる方がいると思いますが、
ゴジラという災いに襲撃された "街の人々の反応" が一番リアルに表現された傑作と思います。
今作はゴジラ作品では異形な存在と感じます。第一作ともまた違う災害感が・・国を上げて取り組む様子はあまり見られなかった気がします。10年後、矢口が総裁選に出馬するまでゴジラは凍結し続けているでしょうか?