「悲しいお話しなのか…」シン・ゴジラ 木の根っこさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しいお話しなのか…
物心付くか着かないかの頃に観ていたゴジラシリーズ。どちらかというと、モスラに熱狂していた人間ですが、シリーズを通したゴジラのイメージは悪者ではありません。
さて本作を観るにあたり、知り合いの高校生(筆者27歳)に「ゴジラが悪者扱いされていておもしろくなかった」と言う感想を聞き、あれ?やっぱりおもしろくないのかなー…なんて思っていました。
でもいざ観てみると、この高校生の感想には少し疑問。(感想は人それぞれなので反論ではありませんが)
私の印象では敵でも味方でもない、むしろ、敵?味方?、善?悪?、何それ?みたいな印象です。本作のゴジラはその概念すら無いように感じます。まさに生まれたての赤ちゃんのよう。冒頭で初めてのゴジラ登場の一連のシーンでも、それを物語っています。
ゴジラの破壊行為(移動時の破壊は別として)は、単に自分を傷付ける者への防御反応だったのは明らかです。作品中、予告でも使われたゴジラの咆哮シーンはどこか苦しみや悲しみに満ちたモノに感じました。
だってなんで攻撃されてるかわからないんだもの。
でもだからといって、決して人間達のことも批判できませんよね。人間だって、未知の生物に対して恐怖を感じる生き物ですから、わざとじゃないにしても、町中を破壊し、人間の生命をおびやかす生き物は排除しようと考えるのは、防衛本能としては当たり前のことですから。
ラストへ向かう展開も、演出として観ても悲劇のように感じます。悲しい作品だなと思いました。
しかし、迫力のある破壊シーンや、作り込まれたシナリオ、リアルを追求した緊急対策本部。色んな物をみせられました。
とんでもない大作でした。
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