劇場公開日 2016年1月23日

「テーマが良いし面白い」信長協奏曲(ノブナガコンツェルト) R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5テーマが良いし面白い

2025年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

2016年の作品
コミックがドラマ化され、その続編を映画化されたもの。
タイトルにあるコンツェルト
「信長」と現代からタイムスリップした高校生(主人公)との“協奏”=共演・共鳴
歴史と現代、現実とフィクションが「一つの作品として調和する」ことを表現したものと思われる。
この頃は「歴史は変えられない」というコンセプトが強く、そのため歴史上の変更がないというのがこの作品の特徴だろうか。
しかし、歴史とはつなぎ合わせたっもので、その全てがわかっているわけではないことから、この不明な部分にファンタジーを付け加えている。
しかし、主人公の名前が「三郎」というのも面白い。
ただ、
私はコミックもドラマも見ていないので、この作品の設定が多少わかりにくかったが、古田新太さんが演じた松永久秀もまた、死んだことで現代へ帰還したのだろう。
また、
河童と呼ばれ収監された外人 彼はどうやって三郎の住所等を知ったのだろう?
三郎は彼からの手紙の中のSDカードのようなもので、帰蝶からのビデオレターを受取った。
外人は帰蝶によって保護されたことがわかるが、三郎が戦国時代に置いて行ったスマホから情報を得たのだろう。
もしそうであれば、スマホを返してほしいだろう。
スマホの中にビデオレターを入れておけばいいだけだ。
そして外人もまた、戦国時代に死んだのだろうか?
そして、タイムスリップした「時」に戻ったのだろうか?
ここはもう少し描いてほしかった。
これがドラマと映画の尺の遣い方の差になってくるのだろう。
ドラマやコミックを映画化する際に出てしまうジレンマでもあるだろう。
さて、
この作品 三郎の性格が面白い。
本物の信長と瓜二つという設定
本物に「器」がなく、偽物にはそれがあるという設定
歴史の「何故」の解釈
そして何より良いのが、三郎のものの考え方かもしれない。
仇討ちや戦争などによる憎しみの連鎖を断ち切り、いつまでも笑っていられる世界を作りたいという想い。
それは、企業戦士のような概念を持たない若者に残った純粋なものの考え方
その単純で嘘のないものの観方
少なからず我慢を強いられた記憶の残る若者
三郎が仲間を作ってきた方法
信頼を築いてきた方法
それをそのまま戦国時代に持ってきただけ。
若者の持つ公平さ 決して自分さえよければいいなどとは思わない。
その延長線上に見た大人たちの腹 復讐
そして「意味もなく村に火を放った」こと。
当時誰もが持っていたこれらの仕業と恨みに対し、現代人の考え方を言ってみる。
帰蝶には特に三郎の想いが良く伝わったのだろう。
他の大名たちもまた、三郎に対し忠誠を誓う。
三郎はおそらく勉強嫌いで成績もよくないと思われる。
しかし彼の一本気な性格の中にある公正性と仲間外れを作らないこと、人に嫌な気分を与えないことというごく基本的なことが、戦国大名たちの心に響いたのだろう。
「歴史は変わらぬが、おぬしの想いが歴史を作った」
帰蝶はビデオレターの中でそう言った。
そして戦争ない時代 江戸時代がやってきた。
この誰もが知る歴史を変更することなく、ファンタジーを使って、タイトルにもあるように信長と三郎との協演・共演
少々まとまり過ぎていたが、これはこれで面白かった。

R41
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