「ダメさの意味が変わった」進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
ダメさの意味が変わった
ちょっとビックリしたんだけど、前編で「ワケわからん!」と思ってたことが後編観たら理解出来たんだよ!あ、そーゆーことなの?ってな具合に。
じゃあ面白くなったのか?って考えたら、そうでもないんだよ、不思議なことに。普通ストーリーが理解できたら面白くなると思うじゃない?ならないんだよ!何で?巨人の生態くらい謎。
後編は前編の説明不足を怒濤の勢いで回収するべく、ありとあらゆる疑問に答えてくれる。
エレンが「こんな世界なんか全部吹っ飛んじゃえば良い」と思っていたのは、婚姻や子供の数までコントロールされる「自由無き世界」だったから。良い思いができる身分に生まれなければ一生を卑屈な我慢の世界で終えることになる。ま、「吹っ飛んじゃえば良い 」くらい思いますわな。
ソウダのおっさんがやけに巨人化に詳しいのは、エレンの父ちゃんと巨人研究をやってたから。「何でお前がそんなこと知ってんだよ!」と思ってたけど、知ってて当然。しかもエレンを託されてるんだから、むしろ疑問なのはエレンのおっさんに対する態度のほう。育ての親みたいなもんじゃないのか?違うの?
エレンが滑り落ちる不発弾も、外壁修復の為の最後の希望として一躍脚光を浴びる。その為にエレンは不発弾に乗っていたのですな。体を張って切り札の存在をアピールする主人公の健気さ。その存在を思い出すオイシイところはアルミンに譲る謙虚さ。まぁ、謎の白い部屋でシキシマさんに絡まれてたから仕方ない。
無駄にスローまで使ったかのようなジャンとの喧嘩も然り。巨人VS巨人の肉弾戦、決着の前振りの為、しょーもない煽りあいをする涙ぐましい努力。
前編のレビュータイトルを「脚本がダメなんだろうな」にしたのだが、ダメさの意味が変わった。説明の圧倒的不足…!と思ってたけど、足りないんじゃなくて位置が悪かったのだ。この世界に不満があること、それをまず説明すべきだった。後出しジャンケンで「実はこうなんです」って言われても、観ている方は「はぁ」としか言えないテンションなんだもの。
ストーリーの辻褄自体はあってるけど、キャラクターの辻褄はあってないままだし。「吹っ飛んじゃえば良い」派のエレンがシキシマに賛同しない理由がわからん。真っ先に賛同してくれそうなのに。
最終的に、何一つ変わってない世界で「エンド・オブ・ザ・ワールド」って言われたところが「マトリックス・エボリューション」以来の衝撃だったことを明記しておきます。