「2回の旅」バケモノの子 soraさんの映画レビュー(感想・評価)
2回の旅
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劇中、九太は2度の旅に出る。1度目は熊徹達と世界中の宗師に会いに行く旅。そして2度目は自分自身のルーツを探る為、人間世界へと戻る旅。映画で描かれる旅というのは、自分自身やその周りに問題が蔓延り、それからの脱却や解決へのヒントを得る為のものとして描かれる事が多い。そして当細田監督作品においても、この過程はその後のストーリーテリングを含め、素晴らしく描かれる。
1度目の旅は何も知らない「子」から一人の「青年」へとのステップへと繋がる。それは自分自身の知恵が芽生え師匠である熊徹の動きを真似するという、工夫の発見と成長を描く。これは熊徹との親密を一気に高めていく、親と子の親密さのストーリテリングとして役割を果たしていく。
2度目は、「青年」からの視点で、自我の問題を見出していく為に、ルーツを見つめていく旅。9歳から人間社会で経なかった時間を、又かつて渋谷の街中で嫌いだと叫んだ他者との関わりを、楓やそれまで不在の存在として描かれていた父との対面によって、自らの中で噛み砕いていこうとする。自分自身が何者か、どこに戻ればいいのかわからず葛藤し、楓や父にぶつかりながら自分すなわち白鯨との対決として展開し、ラストまで駆け抜ける。
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