劇場公開日 2015年7月11日

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「胸の中の剣と共に」バケモノの子 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5胸の中の剣と共に

2015年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

自分、細田守監督の前作『おおかみこどもの雨と雪』は正直、手放しで大絶賛とはいかなくてですね。いや、嫌いとか苦手とかってんじゃなくて、どうにも引っかかる部分が多くて、心の底から楽しい!とはならなかったんです。
なんていうんだろ、この人の性分なんですかね。こう、現実世界にポンと非現実的な設定を組み込む手腕は巧みじゃないですか。それは良いんです。でもそっから更に現実社会で起こりうることというか、そこはファンタジーなんだから無理して組み込まなくてもよくね?その部分に敢えてぶつかってくことなくね?てなことを端々でよくおやりになる人だなと。あと、あっちでリアリティを演出して、だったらこっちでもそれ相応のリアリティしなきゃ!みたいなアンバランスさもあって。ま要するに整合性が下手だなと(飽くまでも自分の意見ですよ)。『おおかみこどもの~』は育児のシーンで諸にそれを感じてしまったし、花(主人公の名前)の菩薩みたいな母性にも違和感があったし、ラストもちょいと首を捻ってしまった(未見の方は是非『おおかみこどもの~』ご覧になってみてください。自分の云わんとしてることが分かって頂けるかも)。
だけどそれがカッチリとハマった時には最高に面白い作品が出来上がるのかなぁと。『サマーウォーズ』とか今作『バケモノの子』とか。

いやあ、ごめんなさいね。前置きが長すぎましたね。まあ、だからなんなんだ?て話ですよね。

要するに、今回は手放しで絶賛できる、ということを言いたくてですね。素直に楽しいと思えたんですよ。
ドラマティックにドラマティックをここまで重ねてこられるとね、退屈なんてしませんから。「そこおかしくね?」という疑問も挟ませてくれない。
突飛な設定、バケモノの世界、ユーモラスなキャラクター達、現実世界の渋谷で起こる非日常、がこんな壮大なエンターテインメント性で以って眼前に写しだされるとなると、もう文句なんてない。
九太&熊徹という愛すべき師弟コンビに出逢えたことが本当に嬉しくてですね。最高の二人です。「この夏はこの二人に会いに行きましょうよ!」と皆さんにお薦めして回りたい。クーラーも効いてるしね。

う~ん。レビューよりも、前置きの方が長くなってしまったなあ。

ロロ・トマシ