劇場公開日 2015年7月11日

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「本当の闇は監督自身の中にあった」バケモノの子 STAFF渡部さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0本当の闇は監督自身の中にあった

2015年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

バケモノの子観てきました。
個人的な感想を書いてみます。
冒頭、大泉洋のナレーションに興奮。一気に映画の世界観に引き込まれます。バケモノたちが住む渋天街の世界もかっこ良い!!干物など市場に並ぶ食べ物の気持ち悪い感じで文化の違いを感じさせるところとかすごくうまい!熊徹と猪王山が最初に戦うところの熊徹のステップは完全にファイト・クラブのタイラーでしょ!と、序盤からかなり期待大だった。
そこからの急転直下。
「師匠が弟子に教わることもある」
言いたいことはわからないじゃないが仮にも次期宗師を担う熊徹が人間の子供相手に俊敏さで負けるなんて展開飲み込めるわけがない。
最初、道が塞がれていて帰れなかったのになんで後半から2つの世界を行き来できるのかの説明が一切ない。バケモノの世界と人間界の世界をあんなにも行き来するので「主人公と熊徹の師弟関係話」と「主人公と楓の青春ドラマ」どこに焦点を当てているのか全くわからない。
正直、2つの話を一緒にしてしまったがためにそれぞれの登場人物との仲を深めていく過程(熊徹との旅路、楓との勉強)が軽薄に描かれているのがその原因だと思う。そのせいでキャラクターへの感情移入もしづらい。そもそも、バケモノが人間界に来る利点が描かれてないのでなんで人間界に来るのかイメージしづらい。
そして終盤のあの展開。ワンピースお祭り男爵の頃のブラックな細田監督が顔を出し、本当に心の闇を抱えているのは細田監督だったと思い出す。
結末がハッピーエンドなのはエンタメ映画として仕方ないにしても、ラストまでの過程がちょっと受け付けられません。
あのチコっていう小さい生物。登場シーンが少ないし重要なシーンで役目を果たすわけでもない。かわいい小動物キャラ出せば興行収入上がると思い込んでいる感じに嫌気がさしました。(この辺は広告会社と資金提供している会社が口出ししてきたのだと思う)
サマーウォーズ、おおかみ子供など、過去作が大好きだっただけにすごく残念さが残る映画でした。

STAFF渡部