「息子は父の背を見て育つ」バケモノの子 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
息子は父の背を見て育つ
細田守監督最新作!
「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」…新作発表の度にいつもその年のお気に入りに挙げるので、今回も非常に楽しみにしていた。
見た事ない世界への冒険、アクション、成長、淡い初恋、そして…
「おおかみこども~」が母と子の温かい感動なら、本作は父と子の熱い感動!
父と子と言っても「おおかみこども~」のように血の繋がりは無く、孤独な少年・九太はひょんな事からバケモノ・熊徹の弟子となる。
師匠と弟子と言っても敬意や固い絆はまるで無く、口を開けば言い合いばかり。
片やぶっきらぼうで暴れん坊、片や生意気だからさらに質が悪い。
修行始まっても熊徹の教え方が超下手くそ。
グッと掴んでビュッとバッ?
心の剣?
…所が、この“心の剣”に終盤感動させられるとは。
男同士ってこうも不器用。距離の縮まり方もぎこちない。
しかし、共通するものがあれば自然と距離は縮まる。目に見えてではなく、クサい言い方をすれば、心と心でしっかりと確かに。
強くなりたい。その一心で九太は熊徹を見て成長していく。
ここでニクいのは、九太と共に熊徹もまた成長していく点だ。
修行し、共に成長し、強くなる…ジャンプ世代の男子なら胸アツ必至!
青年になった九太は再び戻った人間界である少女と出会い、自分の生き方に悩む。
独り立ちを許せない熊徹は、さながら昭和の頑固親父。
いつの間にか情愛が芽生えていた。
九太は熊徹に拾われて良かったと思う。
終盤、九太と似た境遇の者が事件を起こす。
その者は、何故父と同じ“バケモノ”になれないのかと心に闇を抱える。皮肉な事にそれがその者を、本物の“バケモノ”へ変貌させる。
九太もひょっとしたらこうなっていたかもしれない。
そうならなかったのは、熊徹が居たから。
確かに熊徹は優しさの欠片も無ければ、立派で理想的な親には程遠い。
が、親の評価は子がどう成長したかで決まる。
終盤、九太をある悲劇と事件が襲うが、逃げ出したりせず立ち向かう。
その姿には紛れもなく、熊徹の強さと逞しさがあった。
息子は父の背を見て育っていた。
スピーディでダイナミックでテンポいい細田演出はいつもながら胸躍る。
徹底的にリアルに描かれた渋谷の街並み、ファンタスティックながら生活臭を感じるバケモノの世界・渋天街。この二つの世界、人間の知らぬすぐ傍で繋がっているというのがまるでホグワーツみたい。
生き生きとしたキャラ描写、豪華ボイス・キャストも熱演。
テンポはいいが展開が急だったり、少年期九太=宮崎あおいと青年期九太=染谷将太のあまりの声の違いは少々難点。
九太の実の父親の存在や九太が最後選んだ道などは人それぞれ評価分かれるかもしれない。
でも、後味良し、満足度の高い夏見るにぴったりのエンターテイメント!
バケモノと人間の師弟の絆なら、タイトルは“バケモノの弟子”。
だが、見れば納得、父と子の熱い感動物語。
だから、“バケモノの子”!
こんばんは、
共感をありがとうございます。
初めて、この作品のレビュー見ましたけど、ネガティヴキャンペーンひどいですね。一回だけのネガティヴレビューのアカウント多すぎ。
映画.comって、管理がひっどいですよね。結構、びっくり。モラル低すぎ。