劇場公開日 2015年7月11日

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「素晴らしい!けど…」バケモノの子 内山。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5素晴らしい!けど…

2015年8月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「バケモノの子」観てきました。細田作品は全て観ていて、特に「おおかみこども」は大好きなのですが、今回の作品はうーん
と思ってしまう点がいくつか。

まず、脚本的に詰め込みすぎていて、置いていかれてしまいました。心の闇という難しいテーマを早足で収めた感が否めないし、展開が早いのであまり人物に感情移入できないまま物語が進んでしまいました。

そもそも、あの話をバケモノ世界だけで終わらせたら、それは普通に面白い話になったと思うのですが、細田守は現実世界とリンクさせて物語を進めるということを成し遂げています。その点は細田守が描きたかったものだし、素晴らしい構図だと思います。ただ、そういうことになると、ヒロインの楓がいるかな〜って思ってしまうのです。なんか強引に役割を与えているよう気が…。優等生の仮面を被っているということで、楓と一郎彦を合わせているのは意味があると思うんですけど、最後の終わり方に、こう関わってくる意味が見出せません…。それから、この作品でも二者択一の展開があって、でもそれは単なる二者択一ではなくて、それを主人公自らが選びととって新たなる自分を獲得していく細田流が見られるんですけど、今回のはあまり納得がいかないな〜と思ってしまいました。

それからクライマックスの怪獣映画的な展開に入ったところで、心の闇という現実のメタファーでもあることが全面に出てきて、それを解決するのに、俺の心にあいつを取り込んで斬るみたいなことを説明ゼリフで言うんですけど、そこがどうも納得もいかないし、説明ゼリフが増えてきてしまったな〜という印象を受けました。

ですが!相変わらず素晴らしい音楽の使い方と生き生きとしたキャラクターのアニメーションは観てて気持ちが良いし、キャラクター自体に影をつけないで、リアルな風景の中にキャラクターを置いてその人物を際立たせる細田作品の演出や、見事なパンショット(横長の画面でカメラを横に動かす)を見てて、あ〜やっぱり細田作品好きだなぁ〜と思いました。

クオリティが高いのは間違いないので観るべき作品であるとおもいます!次の作品も期待しています。

内山。