劇場公開日 2015年5月30日

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あんのレビュー・感想・評価

全253件中、41~60件目を表示

5.0ささやかな そして 確かな幸せ

2020年7月26日
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父親を看取り 落ち着いた頃、母と気晴らしに映画を観ようと訪れた映画館で樹木希林さんの追悼ということで「あん」を上映していた。本当は「コーヒーが冷めないうちに」を観ようと思っていたが、母が観たいというので「あん」にした。

樹木希林さんは本当に素晴らしい女優だった。思えば 樹木さんの映画作品を観るのは初めてだった。
彼女が 持て囃される(た)のは当然だと その存在感と繊細な演技力に 唸った。
惜しい。残念。まだまだ、たくさんの作品を見たかった!

樹木希林さん演じる徳江が 愛おしげに小豆に話しかけ 繊細に大切に小豆を「あん」に仕上げていく様が 優しい視線で描かれる。あんの美味しそうな甘い香りがしてきそうだ。

この物語は ハンセン病のために 一般の社会から隔離された場所に住む事を強制され、差別され生きて来て、やっと その政策が間違いと是正されたため、外に出られるようになった徳江が、その日暮らしの惰性で生きていた千太郎の人生に 味や色を与えていく…

私は ハンセン病がどうとか そういう事より 徳江の ささやかな事への喜びの姿を この映画は伝えたかったのではないかと思った。

桜を見て 愛おしげに微笑む。餡の煮える音に耳を傾け 満足げに喜ぶ。若い子と楽しげに話す。
なにより働くことを 楽しむ!

そして 徳江は言う。

「人は この世界(の美しさ)を見る(聴く)ために生まれて来たのよ」

胸が いっぱいになった…!

私は 他人のために何かしたいと思うような立派な人間では無い。せいぜい迷惑掛けないように生きている。だけど…

この世界は美しさに溢れている。だから 出来るだけ見たい!聴きたい!と思って生きて来た。わがままな生き方かもしれない。

でも 徳江のこの言葉で 肯定してもらった気がした。

人は何のために生まれて来るのか?大きな命題だ…。もし、徳江が言うように それが生まれる意味ならば、どんな 境遇にあろうとも、美しさを求めたい。
ささやかな事に喜び、感謝したい。美しい穏やかな世界を守りたい。

そう 思った。

私に世界の美しさを教えてくれたのは 亡き父だった。 映画やドライブや空を見上げる事などを通じて、教えてくれた…。
母が作る小豆のおはぎは 絶品(笑)私も千太郎のように、母から受け継がなければ!

だいぶ 個人的な想いで観てしまったから 正しい見方でないかもしれない。でも それでいい。

母も とても良かったと喜んでいた。

素敵な樹木希林さんの温かい表情と声は決して忘れない。

追記
タイトルの『あん』が餡でないのは、「あ」から始まり「ん」で終わる五十音に人の一生を擬えて付けられたものだろうか……。

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レモンブルー

2.0弱者でございます

2020年7月11日
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是枝監督とならんで演出のリアルさが優れている。会話や仕草や表情など「この人たちは自分が映画に出演していることをわかっているのだろうか?」と思えるリアリティ。どうやってカメラを意識させないようにしているのか、わからない。

年譜を見ると、びっくりするほど多作な人だが、作風からして、興行も興行成績もひかえめだと想像する。その作風を、心境の変化か、興行主の意見か、解らないが、この映画から変えた。──と思う。

かわいそうな立場やしいたげられた人でシンパシーを稼ぐ作家とは気づかなかったのだが、この映画や光にはお涙系の演出が目立った。正直なところ、リアルな演出を取ってしまえばセンスのない映画監督だと思う。

オーナーに連れられて、甥っ子がガム噛みながら「どら春」に入ってくる。一目でわかる憎まれ役。観る者の反感を煽りたい意図が見える──というより、いまどき月9にすらこんな直截的描写はない。かなり衝撃を受けた。

店長には、負目と前科があり、母を亡くしている。呑み干したカップ酒に吸い殻、落ち込む度にお酒、短絡の目立つ弱者キャラクターだった。光で同じ永瀬正敏が演じている盲のカメラマンも、しいたげられた/かわいそうな設定で、シンパシーを稼いでいる。
アートハウスの監督と見ていたが、たんに辛気臭いだけなのかもしれない。

話も、餡が変わってすぐ行列できちゃったり、鳥カゴ抱いて家出したり、徳江さんが生前に録音遺していたり、どこまでも作られた話(原作)だと思った。
一杯のかけそばで言うなら「ハンセン病」は「貧乏」のようなもの。いい話というよりうまい話だが、かつての監督作よりもてなしがよく、裾野をひろげたものの、個人的には醒めた。

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津次郎

5.0ぼくたちはなにも知らなすぎる

2020年5月31日
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泣ける

悲しい

難しい

ハンセン病やらい病という言葉がどんどん風化していって、知らない人が増えていっている。どんな病気でいつの話なのか、どんなことがあったのか、やはり知っておく必要があると思う。そしてもっとも知らなければならないのは、ハンセン病を患った方々の人生だ。
いまコロナウイルスで同じように差別の対象とされる人がいるが、その構図はいつの時代も変わらないのか、変えることはできないのか。
なにかを学ぶ必要があると思うが、すこし目先が変わるだけで、人間の深層心理はほんとは変えることはできないのか。そんなことはないと信じたい。
この作品にそのような想いを感じた。

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aoironomegane

4.5樹木希林さんの偉大さと、差別意識のありかをあぶり出す

2020年5月9日
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ゆめ

4.5流石の演技

2020年4月28日
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泣ける

悲しい

樹木希林さんと市原悦子さんが亡くなってしまった今、こういったポジションは誰が演じていくのだろう。

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ぐち

4.5優しく、甘すぎないちょうど良い甘さの映画だった。あんだけに。ハンセ...

2020年4月19日
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優しく、甘すぎないちょうど良い甘さの映画だった。あんだけに。ハンセン病の部分も考えさせられつつ、生きることの大切さを教えられた。樹木希林さんまたもや最高でした。

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おれ

5.0久しぶりに。

2020年4月10日
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最初から最後まで、目の離せない映画を観ました。

樹木希林さん扮する『徳さん』永瀬正敏さん扮する『店長』。映画だし演技だと分かってはいるけれど、
二人とも、役の人生を生きているかのようでした。

音の一つ一つ、画の一つ一つ、しぐさ、言葉、どこにも無駄なものがありませんでした。

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ちびたまろ

4.5レジェンドの揃い踏み

2020年4月10日
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泣ける

悲しい

幸せ

樹木希林と言えば富士フイルムのCM。
「綺麗な方はより綺麗に、そうでない方はそれなりに」
あの頃から、別に綺麗じゃないけどそれなりに見てしまう女優だった。

「日日是好日」を観てから、あの味のある演技をもっと観たい、というか「久しぶりに会ったおばあちゃんの話をもっと聞きたい」みたいな感覚で、配信サービスのAIに勧められるまま鑑賞。

主演の永瀬正敏にも久しぶりに会って、そういやこの元嫁も含めて今はどうしてるのかとか雑念が湧いたが、それをやはり凌駕していた樹木希林。今回はその役のバックボーンも相まって、彼女の軽さを感じる演技がより重く響く。
ハンセン病って知らない人も増えてる様な。学校の授業で少しやった覚えはあるけど、今でも教えてるのかな。

永瀬と樹木希林の孫が訪れた先に、
まさかの市原悦子。
そしてそのロケ地は東村山。
志村けんの出身地ですね。
郷愁を煽る要素が多すぎて、満足感半端ない。
桜が多く出てくるので、今観るには色んな意味で丁度良いです。

「あん」は中身。中身が大事。
みてくれなんてどうでもいい。
常日頃そう思う、中身の無い自分。

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クリストフ

4.5生きる意味は

2020年3月10日
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幸せ

淡々として落ち着いた雰囲気が良い。多くを求めず、その世界を五感で感じとっていく姿が、観ている自分の感覚とリンクしていく。

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棒人間

4.0原作と

2020年3月8日
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原作を読んで、ハンセン病資料館に行き、映画を観た。より深く作品世界に入り込むなら、原作をお薦めする。そもそも難しいテーマを扱っている長編小説を2時間の尺で収めるには取捨選択をせざるを得ない。原作では丁寧に描かれている経緯が、映画では所々省かれており、細切れのように場面が飛ぶ印象がある。
それでも映画の素晴らしいのは、それを補って余りある視覚情報である。舞い散る桜吹雪、香り立つようなあんの煮炊きの場面、療養園の風景は強く訴えかけてくる。樹木希林の演技に注目が集まるが、永瀬正敏の演技も素晴らしかった。あまり演技派という印象はないが、主人公の朴訥として、疲れ切り、どこか流れに流されてしまうところを見事に演じていた。個人的にはラストシーンは取ってつけたようで違和感を感じたが。
よい映画の時間だった。

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みんも

4.5生まれてきた意味。生きている意味。魂の浄化。

2020年2月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

心の中に巣くう恐怖。
感染病に対する、手っ取り早い処置・隔離。
特効薬が開発される前まで死病だった結核。
赤痢・コレラ・天然痘…。
身近に感染者が確認されれば、保健所に呼び出され、検査させられ、感染し、他への感染可能性があるとなれば、隔離され、関わる場所が消毒される。
インフルエンザ他でも、出席停止・出勤停止となり、”家”に隔離されて、感染拡大を防ぐ。
感染方法が明確になる前のエイズ・HIV。
そして、今コロナ・ウィルス…。
命を守りたい。死への恐怖が、行動を激化させる。
加えて、ハンセン病は、身体の変化がその恐怖に油を注ぐ。
 そんな、種の保存として当たり前の思いと、
 人として生きることへの思い、
 そしてこれだけ皆がググって情報を得られる時代にも関わらずの無知・偏見
 がベースとなって、物語が展開していく。

ある事情から、強制的に生き方を定められてしまった徳江さん。
ある事情から、自分で自分を籠の中に押し込めている千太郎。
ある事情から、”自由”なはずなのに、”自由”になりきれないワカナ。
 この3人がより糸のようによりあって、物語が進む。

亡くした自分の子を千太郎に投影する徳江さん。
亡くした母を徳江さんに投影する千太郎。
失くしかけている家族を、徳江さんと仙太郎に見出しているワカナ。
 本人たちも自覚していないふんわりとした疑似家族。

人生は悪いこと、思いもよらぬこと、思い通りにならぬことだらけ。
 生まれてくる家族も選べないし、罹患する病も選べないし(生活習慣病を除く)、良かれと思ってしたことが仇になることもある。
それでも時折、遭遇する楽しいこと・すてきなこと。
手間暇かけて、面倒な積み重ねの果てに作り出せる美味しい時。

はまってしまった環境の中での、それぞれの思い・ふるまい・日々の生活。
そんな営みを、世間の人はわかってくれなくても、お天道様が、お月様が、木々が、風が、畑からのお客様(農作物)が見ていてくれる。
 徳江さんの作るあんのようになれればいいけれど、何にもなれなくっても、そこにいるだけでいい。

映画は、確かにハンセン病患者を扱ったものだけれど、
それよりも、千太郎のいら立ち・号泣とともに、魂が洗われていくような気になってくる。

これだけでも、号泣なのに、
市原悦子さんが出てきただけで、さらに涙が出てきた。
二大女優の競演。
もっと見ていたかった。
合掌。

原作未読。

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とみいじょん

5.0人生、いろいろね

2020年2月4日
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blue

5.0ありがとうございました

2020年1月26日
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樹木希林さんと同じ時代に同じ国に生まれて本当に良かったと思います。

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おちとしひろ

5.0人としての生き方。

2020年1月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

先日テレビで映画「あん」の放送がありました。
ゆっくり1人の時間に観ようと録画をし今日ひとりで見ていました。
人と人との繋がりが 善きも悪きも影響し いろいろな人間模様が見れました。
偏見という人の見方により 無意識のうちに 傷つけ傷つけられたり
喜びや悲しみの深さを感じました。
樹木希林さんの想いがとても強く感じました。
共演されているお孫さんの表情がとても愛溢れていて
心配そうに演じるのが 真実の愛を感じました。
お亡くなりになり 樹木希林さんの存在がとてもとても強く感じました。
病気と闘いながら 生と死 を演じる姿は
これからも映像や残された声、言葉により 蘇ってきます。
小さい頃に見たドラマの「ジューリー」がとても懐かしく思えます。
樹木希林様 感動をありがとうございました。

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tommy love

5.0本当に温まる映画でした。大好きです。映画館で観たかった。 状況は違...

2020年1月12日
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鑑賞方法:VOD

本当に温まる映画でした。大好きです。映画館で観たかった。

状況は違えど、それぞれがカゴの中のカナリアのようにとらわれてきた人たち。樹木希林さん演じる徳江さんもその一人でしたが、カゴから出てきてやりたいことをやるように。その過程で、主人公たちのその閉じた心を柔らかくほぐしていってくれます。
全員の演技が本当に素晴らしかった。ストーリーのゆったりとしたテンポも心地よかったです。誰も怒鳴ったりしない映画って心臓に優しい・・。

ちょうど数日前、お正月に小豆を炊いたところでした。たまにしか作らないこともあり、なかなか満足な仕上がりにはならないのですが、この映画を見て、そうか小豆の声を聞くのか、とはっとしました。次はもっと気持ちを込めて作ってみたい。でもほんと、乾燥した状態のあずきの一粒って、ツヤツヤしていて美しく、いつもうっとりします。

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euri

5.0見てよかった

2019年12月21日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

ここ数年の樹木希林が苦手というか、距離を持っていたいのだけれど、「万引き家族」同様、見てよかった、永瀬はいつも良く、この映画でも本当に本当に素晴らしかった。樹木希林の表情、台詞、ことばからは目と耳を離すことができなかった。美味しいあんこ(大きいおはぎだったな)、ご飯を色々作ってくれた自分の祖母を思い出すこともできた。ありがとう。

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talisman

3.0生きる喜びと希望に溢れた良作

2019年12月8日
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生きる喜びと希望に溢れた良作

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Yoichiro

5.0すごい映画でした

2019年11月28日
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樹木希林さんと市原悦子さんが共演。

誰もが色々と重いもの背負ってるんだよね。

来たよ、ぐっと。心に。
生きる意味とは。
生きる希望はどこにある。

明日からまた頑張ろうっと。
一日一日を大切にしようっと。

嗚呼、たまらん。

ごめんなさい と ありがとう
を、誰かに言いたくなった。

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totechinsyan

2.5樹木さんは満点

2019年11月25日
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これね、ずるいと思うんですよ。
この映画をダメだって言っちゃうと、人間性を疑われそうっていうか。

言ってしまえば映画として「あんこ」は割とどうでも良くって、
ハンセン病患者が受けた差別を描いてるっていうね。
そりゃ不当な差別なんだから問題ですよ。間違いなく大きな問題です。
でもね、こういう演出っていうか描き方をしてしまうと、
単なるお涙頂戴になってないか?と。
「ほら、ここ泣くとこですよ。」「こんなにかわいそうですよ。」
後半の至るところでそういう押し付けがましさを感じてしまって
全く素直に感動できなかった。

樹木さんの演技だけは満点。
「老い」の切なさを表現させたらこの人に並ぶ人っていないんじゃないかな。

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mar

4.5隔離からの解放

2019年10月30日
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ミチ