「仕事がんばろうと思った」サンドラの週末 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
仕事がんばろうと思った
主人公はサンドラって女の人なの。どうも工場の経営が苦しいらしくて「サンドラを解雇するか、ボーナスを支払うかのどちらか」で従業員に投票させるらしく、その投票日が月曜日なの。
だから「私を解雇しない方に投票して」って週末説得して回る話。
オープニングがサンドラの寝てるところからなんだけど、寝顔が可愛いんだよ。電話で起こされて「あ、いま子供たちのおやつ作ってたから、ちょっと待ってて」ってオーブン止めるんだけど、このオープニングでサンドラ応援する気になるね。
サンドラ最初は「もう駄目だ、解雇だ」って落ち込むんだけど、旦那さんが応援すんの。「大丈夫。みんなに合って話をするんだ」って。全編通じてそうでね、サンドラが「もうダメー!」で旦那さんが「がんばろう」っていう。
それで説得はじめるとね、最初の一人が電話で落ちるの。ここがうまいなあと思った。一人目の説得に失敗したら、がんばって同僚に会いに行けないしね。
あとは賛否様々になるんだけど、対話が面白かった。お互いの主張をちゃんと言ってね、それで「悪く思わないでくれ」「解るわ」って別れんの。互いの主張の食い違いが、感情的対立にならないんだよね。さすが民主主義発祥の国。
それとね、対話が「ボンジュール」で始まって「メルシー」で終わんだけど、そのプロトコルがしっかりしてんなと思った。日本だと、ここまで様式化されてないかな。
3〜4人みたところで「もう説得シーン飽きたわ」と思うんだけど、その辺から色んなバリエーション出てきてね。面白い。
最後はどうなる!?っていう月曜日の投票なんだけど、ここのラストはフランス映画っぽいなあと思った。
まあいずれにせよ。経営が苦しくて「サンドラか?ボーナスか?」の二択になるのは理解するけど、それ決めんのは経営者だよね。その辛い決断を従業員に押し付けたら駄目だわ。そんな経営者のやってる工場だから、遠からず経営かしがると思ったよ。
あとこの映画、画がすごい綺麗なの。フランスの光で撮るとこうなんのかな。オープニングも寝顔もさることながら、色合いすごい良かった。
構図も面白くて、サンドラと対話するシーンでは、二人の境目に背景の境目ももってきてたりね。それで対立が際立つ感じ。だから背景に境目なくなったら合意なんだね。
それから一人ひとり説得してくシーンではちょっと《十二人の怒れる男》を思い出したよ。