「コティヤールを観る映画。」サンドラの週末 フットさんの映画レビュー(感想・評価)
コティヤールを観る映画。
体調不良というか、たぶん鬱病で休職していたサンドラは、ようやく復職の目途が立つが、会社が職員へのボーナス支給のために1人解雇しなくてはならず、サンドラを解雇すると通告してくる。
同僚のとりなしで、週明けの月曜日に職員たちによる投票を行い、ボーナスをあきらめてサンドラを再び迎えることに賛成する者が多ければ、そのまま復職できることになる。それを知ったサンドラは週末、同僚たちを説得してまわるが……。
というあらすじ。以前ハリウッドで「ノーマレイ」近くは「エリンブロコビッチ」と反社会のウーマニズムは多々あったが、少なくともヒロインに華を与えるべく脚色された内容だったが、これははっきり言って単純な脚本で話は全く救いがない。
賛否の分れ道だけど、自分は次の様に観て満点である。★アメリカ映画でなくヨーロッパ映画である。★
鬱病の辛さは本人にしか理解できない。「泣いちゃだめ、泣いちゃだめ」と安定剤を服用しながら何度も同じ台詞で同僚を訪問するサンドラ。もう90分殆どがこれのリピート。派手な米脚本にはあり得ないほど単調。ここで観方をマリオン・コティヤールのみ
に定める。オスカー女優は終始スッピンでカメラと戦う。見事だ~。はっきり言ってこの人今迄あまり好きでなかった。大作の群像劇には全く浮いてるし、単発劇でも、ヒステリッキーで私は上手いのよ!が鼻について・・・。
この一見淡泊なサンドラ役で改めて上手いと思った。ベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の味もあるのだろうが、最初と最後の顔が全然違う。カット割りのみで映画自体は語らないがサンドラは鬱に勝ったのだと思う。
最後の道ゆくシーンは格別だった。話ではなくマリオン・コティヤールを観る映画。