「サンドラの週末は明けた」サンドラの週末 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
サンドラの週末は明けた
もし自分が同じ立場だったら?…と、思わずにはいられない。
病気療養から復職しようとした矢先、突然解雇通告が。
理由は、従業員に支給されるボーナス分、誰か一人をクビにしなければならない。
そこで、暫く休んでいた自分が。しかも、一人クビにしても仕事は回る。
社長に掛け合い、すぐの解雇は無くなったが、同僚たちによる投票が週明けに行われる事に。
復職か、ボーナスか。
復職に投票してくれるよう、サンドラは週末をかけて同僚たちを訪ね歩く…。
何とも納得出来ない。
何で自分が?
何で同僚たちのボーナスの為にクビにならなければならない?
自分にだって生活がある。お金が必要。
休んで働けなかった分、生活は厳しい。
休んだ分、働いて稼がねばならないのに…!
しかしそれは、同僚たちとて同じ。
皆、生活は厳しい。
ボーナスを期待してる。それを当てにしている。
それがないと生活出来ない。
だから訪ね頼んでいる時、誰も邪険にはしない。
一人二人は居たかもしれないが、「ふざけるな!」「帰れ!」「お前の生活なんかよりこっちの生活の方が大事なんだ!」とはあからさまに言わない。
皆、同情している。気持ちは分かる。
でも…。
やはりどうしても、自分の生活の方が…。
訪ね歩き、頼み込み、自分に投票してくれる同僚たちが何人か。
分かってくれた。
週明けの投票の結果は…。
話は本当にそれだけ。
訪ね歩いて頼み込んで、同じ事を話す。
地味ではあるが、他人事ではないヒロインの命運が懸かっており、なかなか惹き付けられる。
ちょっと苦手意識のあったダルデンヌ兄弟監督の作品の中でも、これまでで最もすんなり見れた。
断れても断れても、諦めず、タフなヒロイン…ではない。
ショックの余り泣き出す事も。
マリオン・コティヤールの複雑な演技と、言うまでもなく美貌が光る。
さて、投票の結果は…。
これを受けて、社長から思わぬ話が。
が、誰かが自分と同じになるのなら…。
結末は賛否分かれそう。これで良かったのか、悪かったのか。
しかし、サンドラの週末は明けた。