劇場公開日 2015年4月11日

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「最悪のリアルだ」皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇 manamboさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5最悪のリアルだ

2015年4月19日
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鑑賞方法:映画館

メキシコでは、昨年秋に、麻薬組織と癒着した警察が40人以上の大学生を拉致し殺害した事件が記憶に新しい。
映画の舞台は、国境を挟んでテキサスのエル・パソと接するフアレスの町。麻薬戦争の舞台だ。年間3000件の殺人事件が起こり、ほとんどが立件もされないこの無法地帯の警官リチ。メキシコの麻薬ギャングの武勇伝をスペイン語で歌い北中米で若者の熱狂的な支持を受けるナルコ・コリードと呼ばれる音楽をLAを拠点に演奏する歌手のエドガー。この映画は、二人を追ったドキュメンタリー。描かれるのは、違法化し地下に潜った現代の植民地経済が産み出す狂った地獄のパーティーだ。メキシコの麻薬経済の規模は年間400億米ドルとも言われ、本当ならば石油の純輸出額を上回る。消費地はほとんどが米国。金と武器が米国からメキシコへなだれ込み、表と裏の権力関係を破壊し、統治を有名無実化する。そして、麻薬王の暴力と成り上がりの物語がメロディーに乗って退屈な世界にばら撒かれるのだ。

manambo