パプーシャの黒い瞳のレビュー・感想・評価
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黒く深く。
その才能に目覚めたことで、大いなる名声と不幸を手に
してしまった女ジプシー・パプーシャの人生を描く作品。
そもそもジプシーが文字を持たない(忌み嫌う)ことすら
知らなかった自分には、何で?何で?という感じだった。
そんな文明に囚われることなく生涯を終えるのが彼らの
生き様なのだろうが、文字が好きな私には理解できない。
皆が忌み嫌う文字を習得し、さらに詩に読んだことで、
彼女の才能はポーランド語に訳され出版されてしまう。
本来目出度いことじゃないのよ!なんて思ってしまうが、
その後壮絶な運命がパプーシャを追い詰めていく様子が
描かれ、精神を病んでいく彼女がモノクロームに歪む。
それを得たことで人間は不幸になると同時に、幾つもの
発見や喜びを手にするものだと私は思うが、自身が生き
長らえていくために、コミュニティ尊重という圧力には
抗えなかったのだろう。黒森が深く濃い絆を映すように。
(後悔先に立たず。とはいうけど才能を責めても仕方ない)
ジプシー、知ってそうで知らなかったジプシー
なぜ、移動を始めてしまってのか… なぜ、移動をやめなかったのか… 流浪の民、時折は楽しそう いやいや過酷でしかない そして文字を持たないという考えられない文化 残さないという文化 そんななか叱られながらも文字を知り 詩を書くパプーシャ その結末もあまりに不幸
20世紀初頭から始まるパプーシャたちの終わりのない旅が、微細な光の陰と輝きの風景として記録されている。
馬車を連ね、花吹雪の森や雪が舞う街を遍歴し生活するジプシー。彼らにとって言葉を文字にすることは、悲しみを記憶し、禍を招くことでありタブーであった。しかし、パプーシャは文字に惹かれ、匿った青年に惹かれ、四季折々の世界と仲間たちの喜びと悲しみを小さな紙切れに書き残して行く。20世紀初頭から始まるパプーシャたちの終わりのない旅が、微細な光の陰と輝きの風景として記録されている。哀愁深い音楽を合わせ、シンプルなモノクロ映像をきめ細かに描いていくこの映画は、60年間に渡るポーランド・ジプシーの叙事詩と言えよう。
簡単な映画ではありません。
第二次世界大戦を挟んで時間が目まぐるしく往来し、更につられて舞台も移動するので、私は完全には理解できませんでした。自分の国を持たないロマ族の実態と、文字を書けなかった女性が文字を学び、そして、詩作に手を染めるようになるものの、結果として、自身を幸福にはしなかったことなどが、観終わった後に判ってきました。しかし、本当にこの映画を理解したという実感が持てません。多分、DVDなどで、2,3回、見直さないと理解できないと思います。若い頃のパプーシャと詩人になってからのパプーシャも登場人物が、誰も彼もが似ていて誰が誰なのか区別つきませんでした。 そうは言っても、なかなか深い味わいのある映画でした。 モノクロの画面の美しさが際立っていました。
画は美しい
タイトルにある通り、引きの画は美しいです。最初はおお!(゚∀゚)と画の美しさに驚いたりしていたのですが……。それも見せ方に工夫なく繰り返すので早い段階で飽きました笑 そして、単純に長い。上映時間二時間超えですがこんなにいらないです。特に見せ方にアイデアもないジプシーの旅路が延々と続くので眠気が。実際寝てるであろう方もちらほら見かけました。描写が丁寧、というのとは違います。そこで描きたい、表現したいものに対して、尺がだぶだぶ、単純に無駄。映画の時間軸も変に入れ替えるのでなく始めから一本道でよかったと思う。 はっきり言って観ていて面白くなかったです。ニーチェの馬視聴の際の苦痛に似たものを感じました。題材は良いし、けっこう期待していただけにガッカリ。
壮大なモノクロームの世界観が美しい。
故、クシシュトフ・クラウゼ監督の世界を存分に味わう事が出来る作品でした。 放浪の民ジプシー達の描き方がとてもリアルで興味深く、その生活の中から生まれ出るパプーシャの無垢でストレートな詩は、もう少し長く聞いていたいと思うほど心地よい。 時代が前後し異文化だけに多少解りにくい所があり、その様な意味では予告編に総てが集約されている気もしましたが… 2時間10分、壮大なモノクロームの世界観は劇場でなければ味わえないスケールの美しさでした。
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