日本のいちばん長い日のレビュー・感想・評価
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戦時中の中の、さらに戦時中のようなクーデターを描いたスリリングな作...
戦時中の中の、さらに戦時中のようなクーデターを描いたスリリングな作品です。
暴走する軍部や内閣が緻密に描かれ、セットもかなり当時のを再現しており、見応えがありました。
この中で一番好きな役者は山崎努ですが、モックンの昭和天皇もよかった。
印象に残ったのはモックンの牡蠣のシーンです。
クリアな玉音放送
聞き取るのが困難だったと聞き及ぶ。セットが綺麗だったり終戦間際のリアリティが減じられる。阿南陸相の自刃にフォーカスしすぎる。映画の主題がそちらに引っ張られる。陛下も御言葉が多すぎる。侍従の演技はただ馬鹿にしているとしか思えなかった。
岡本喜八は終戦に向ったシビリアンもミリタリーも政治家もそれぞれの立場を敬意を持って丁寧に扱っていた。制作意欲に感心する点も多々あるが、岡本版をお勧めしたい。
始めるより終わる方が難しい
戦後20年に記者が関係者に取材して書いた本が原作の映画。'67の岡本喜八監督版も良かったがこれも良かった。
映画なので脚色はあるが、要所は事実である。もちろん取材で全てが明らかになったわけではないし、実際に陸軍関係者が例の件は漏れていないと発言したらしいが、それでも当時を窺い知る大事な作品と言える。
役所広司や山崎努などもちろん素晴らしいのだが、本木雅弘の陛下役がしっかりハマっていたのに驚いた。
●聖断のその舞台裏。
あらためて思う。なぜこれだけの大事件が、中学校の教科書にないのか。解釈がいろいろあるのはわかるが。繰り返された軍の決起。大義だけで国体を護持できるハズもなく。若者を駆り立ててしまう理不尽さと純真さ。
一方で、天皇陛下を役者が演じられる時代になったんだ、と思う。
その聖断。"subject to”の訳が、制限下か隷属かに関わらず、無条件降伏。軍の暴走があっても譲らないのは、北海道がソ連に攻め込まれるから。ギリギリの攻防だ。鈴木貫太郎首相も阿南惟幾陸軍大臣も、まさに命を賭けて仕事する。
8月にぜひ観たい映画だ。蛇足だが、個人的には、侘び寂びのある旧作も好き。
阿南の切腹シーン
ポツダム宣言受諾決断までの話。
昭和天皇や鈴木総理、軍人。それぞれにとって本当に長い1日だったんだろうなぁ。
阿南の切腹シーンは目を背けたくなりました。
現代とは時代背景も価値観も全く違うけれど、同じ日本という国で起こった事だと思うと考えさせられる映画です。
前作と両方見る必要があります
この原作は半藤一利が 1965 年に出版したもので,奇しくも今年が丁度 50 年目に当たっている。出版の2年後の 1967 年には岡本喜八監督によって映画化されており,カラー映画が主流になりつつあった時代にありながら,敢えてモノクロで撮影したこの旧作は,未だに名作として鑑賞され続けている。この時の脚本は名脚本家橋本忍の手によるもので,非常に緊迫した雰囲気を最後まで崩さず,終始誰が殺されても不思議でないような緊張感に溢れていたのが印象的であった。この旧作を,私は何度見たか数え切れないほど見ている。この旧作を見てから本作を見に行かないと,人物関係等が分かりにくいのではないかと感じた。
今作は,監督の原田真人が自ら脚本を手がけ,旧作が描いてなかった部分を実に丁寧に掘り起こしており,リメイクを作るという意識はほとんど感じられず,被っているシーンも驚くほど少なく,全くの新作を見ているかのような新鮮さを感じることが出来た。まさに脚本の手柄と言うことが出来るだろう。原作者の半藤氏は護憲派のサヨク的人物であり,原田監督も宮崎駿らと行動をともにしたことがあるなど,やはりサヨク的な言動の多い人物であるが,本作にはあまりそういった姿勢が感じられず,東条英機を悪く描き過ぎている点を除けば,非常に中立的立場で,ドキュメンタリーに徹しているかのような雰囲気を感じさせていたところに好感が持てた。ただ,組閣から話を始めたのでは,いくら2時間半の尺があっても足りないだろうと思ったら,案の定,後半から終盤は非常に駆け足になってしまったのが惜しまれた。
役者は,いずれも好演していたと言えるだろうが,旧作に比べると軍人が軍人らしくなくなっているのが残念だった。まず,声である。軍人にとって声は,戦場で号令や指令を発するための大切な商売道具であり,良く通る芯のある声で話していたはずで,身近な例を挙げれば,鮨よし遊の吉池右亮氏のように威勢の良い張りのある声の持ち主ばかりだったはずである。この点,旧作で畑中少佐を演じた黒沢年男は狂気を感じさせるほど見事な役作りであったが,本作の松坂桃李は終始囁くように喋っていたので,全く迫力が感じられなかった。役所広司は,旧作の三船敏郎にかなり迫るまでに成長したかと感じさせてくれた。山崎努の鈴木貫太郎総理は,旧作の笠智衆よりはるかに頼もしく,旧作の不満が解消された。だが,何と言っても素晴らしかったのは,昭和天皇を演じた本木雅弘であった。旧作と違って昭和天皇のシーンは格段に増えており,表情をほとんど変えずに,その人柄を感じさせる演技というのは非常に難易度の高いものだったに違いないのだが,実に見事に演じ切っていたように思う。
音楽は,「マッサン」を手がけた人だそうである。決して出しゃばらず,しかも各シーンに不可欠な音楽を見事に書いていたと思う。感情に流されることなく,しっかりした情景を描こうとする姿勢が感じられたのだが,これは監督からのリクエストだったのかも知れない。音楽に関しては旧作を上回っていたと思う。
演出は,非常に短いシーンを繋いで構成されており,いかにも原田式であった。もうちょっと見たいと思っているところで切り替わってしまうので,少々もの足りなさを感じることもあったが,それでもあまり大きな不満には感じられなかった。顔を相手に向けたままの敬礼の仕方など,当時の風習を見事に再現しており,丁寧な下調べを行っていることが伺われた。現代的な目で見れば,一斉に同じ敬礼をする軍人は,ロボットのように見えてしまうのだが,これは敢えて行っている演出の意図なのかも知れないという気もした。ただ,やはり尺の問題で,玉音盤の宮廷内での捜索や,佐々木大尉率いる民兵による首相宅の襲撃などは大きくカットされており,これでは佐々木大尉を演じた松山ケンイチが可哀想になるほどであった。やはり,この作品だけでは不十分なのではないかという気がする。旧作と本作を2本立てて上映するのが一番いいような気がした。
(映像5+脚本5+役者4+音楽4+演出4)×4= 88 点。
国体護持とは・・
半藤一利の原作本を読んだ。日本は第二次世界大戦で無条件降伏をしたが、そこに至るまでの政府や軍部の紛糾は想像を絶する。そもそも日本は歴史的には出雲国の古代から神国で、明治維新で王政復古を遂げてからは完全に天皇を中心とした国家だった。天皇は現人神(あらひとがみ)であり、戦後に出来た人間天皇の象徴天皇という概念は、GHQの草案した日本国憲法に寄る。ただ現代の国民の85%は現在の天皇制に納得している。そもそも天皇制という言葉自体が戦後使用されるようになったらしいが、政府と軍部は無条件降伏であっても国体護持にあくまでこだわった。その辺りのことは原作本を読まないと理解出来ない。とにかく日本は戦時中、神風が吹くと国民の誰しもが本気で考え「天皇陛下万歳!」と唱え若者の多くは玉砕していった。国体護持にこだわらない戦争終結という陛下のご聖断は現在の日本国存続に繋がる。戦犯にされなかった昭和天皇と、降伏か本土決戦かに揺れる軍部との軋轢はまさにドラマである。映画だが、無条件降伏を決めた御前会議と陸軍の青年将校らが起こしたクーデター宮城事件を克明に追っている。日本人なら、そして現代社会に生きる人間なら歴史を学ぶ上にも必ず観るべきである。今年も真夏の暑い8月15日の終戦記念日が来ようとしている。日本人として原爆投下やソ連の参戦、無条件降伏そして日本国憲法について深く考えるべきだろう・・2015年の邦画。
歴史を知るということ。
今を生きる私たちは、歴史を学び、語り継いでいかなくてはいけない。
そのためにも観るべき作品かと。
要所要所に、海外の方からの目線を意識しているのかな…と思う部分もあり、日本人として、より多くの方に観て頂けたら素晴らしいと思う。
ただ、大きな隔たりというか、庶民との違いというか、おいてけぼり感というか。何か引っかかりを感じたのも事実。
とにもかくにも豪華なキャスト陣で見応えもありますし、時代の中で翻弄されながらもそれぞれ闘っている方々の気持ちはわかるのだけれど…
個人的には、放送局での戸田恵梨香さんのシーンが一番好き。又、役所広司さん演じる阿南陸軍大臣の奥様(神野三鈴さん)の慎ましさと強さに涙。
旧作もものすごいメンバーなので、機会があれば是非観てみたい。
平和への祈りを込めて。
焦点が定まっていない
日本がポツダム宣言を受諾し、昭和天皇による玉音放送が行われるまでの過程を描いた映画。
原作未読なので比較はできないが、たぶん映画の尺では伝えきれていないのだろう。登場人物が多いので、事前の知識がないとアウトラインしか把握できない。史実として理解はできるが、映画としては今ひとつ。終戦を決断するまでの混乱、阿南の人間性、クーデターの危機…、焦点が定まっていない印象だ。
ただ、主要な俳優陣の演技はよかった。
客観的な群像か。
太平洋戦争終結を題材にした映画は数あれど、なぜか新鮮味を覚えたこの作品。先日日本アカデミー賞で幾つかの部門に名を連ねていたため、鑑賞してみた。
もっけからテンポの良い“歴史”の展開に苦笑する。不自然なほどにカットされる映像と音声。かなりの撮影をこなしていそうだが激しくぶったぎっている。凄い。しかし、タイトルがタイトルだけに、スポットライトが当てられているのは8/14なのだろうと気を取り直して見続けた。
・・・
結論。
これは戦争終結の局面を徹底的に俯瞰しようとしてしきれなかった作品。
それぞれの人々がそれぞれの思いを胸に馳せながら自分の意思を全うする、というお涙頂戴にはしたくなかったんじゃないか。僕はそう思った。だから役所広司さん身辺になんだかこう、滑舌の悪い人間ドラマを滲ませてしまったのが少し残念だった。
リアリズム、といっても“歴史”をそのように理解すること、ましてや描くことなんて不可能だろうと僕は思っている。しかし、その試みはあるべきで、映画だからこそ見せられる同時多発的な事件を濁すことなく提示し続ける技術は素晴らしいと思った。
最も信頼できる日本人監督
研究の成果であるところの多かろう、細密ゆえに高貴な細密画、のように丹念に描きこまれていて、基本的には基本的な演出、カメラワークを用いているはずなのに、滲み出る、溢れ出る、この監督の個性には、改めて敬服している。
ただし、
切腹までの長い長い時間は、見方によっては喜劇的になってしまう。不満はそこだけ。
作品単体では理解不足に陥る
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:60点 )
終戦に向かう日本の政府の裏事情が描かれていて興味深い。これを観る前には阿南大将はいけいけの強硬派という印象があってあまり好きではなかったのだが、ここでは強硬派をいかに制御して現実的に戦争を終わらせるかという違う側面も描かれていたのでその人物像に興味がわいた。
しかしこの国運を決める緊迫の主題を持った作品で、家庭人の彼に多くの光を当てるのは焦点をかなりぼかしている。彼がこのときに軍人として政治家として何をしたかだけで十分だった。
当時の軍人幹部の暴走に関しては、徹底した神国日本の軍人としての教育を受けていたので、このようなことが起きるのは仕方がない。しかしそのような部分が劇中で説明されていないし、若手軍人の人物像の掘り下げが浅い。
阿南にしてもそれは同様で、彼の本当の目的が何だったのか、もっとはっきりと描いていても良かったかな。ソ連を終戦工作に使おうと思っていた派閥があったとか、もっと終戦工作の内情をしっかりとわかりやすく描いて欲しい。
全体として原作ありき、歴史の知識ありきというのが前提になっているようで、この作品を単体で観ただけでは深い理解には至らない。複雑な事情を描くには2時間でも不足だっただろうか。そして終戦間近の日本政府の舞台裏・阿南の軍人と政治家としての行動・阿南の人格と家庭という三つ、これを無理に詰め込みすぎたことがより散漫になった原因だろう。
追記(2016. 8/14)
『日本のいちばん長い日』(1967年)の原版を観た。こちらのほうが家庭人としての阿南大将を描くことなく、軍人・政治家としての彼のみを描いていて焦点が絞れている。物語としては原版のほうが上。
まあまあ
70年前は、日本もどこかの国と変わらない悪い事をしていたんだなと、あらためて思いました。
昭和天皇を本木雅弘がとても上手く演じきっていて素晴らしいものでした。役所広司、松坂桃李も熱い迫力ある演技を見せていました。
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