「日本の転換点、壮絶な人間ドラマ」日本のいちばん長い日 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
日本の転換点、壮絶な人間ドラマ
"日曜洋画劇場特別企画" で2回目の鑑賞。
原作は未読(※現在は読了済み)。
旧作と同様のドキュメンタリー・タッチにも関わらず、キャラクターの掘り下げがされており、丁寧なつくりである。
阿南陸軍大臣の娘の結婚話など、旧作に無かった描写が追加されているのに上映時間は短くなっている脚本が巧みだ。
しかしその分、知識量が試されるかの如く説明を極力省略しスピーディな展開になっていることは否定出来ない。
歴史の流れを把握していることが大前提だ、日本人なら知っていて当然だろうと言う、原田眞人監督の声が聞こえた。
旧作との大きな違いのひとつは、昭和天皇のお姿をじっくり描くところ。旧作では人物の肩越しにちらと見えたりするばかりだったが、本作では本木雅弘氏が演じ、セリフも多い。
人間味に溢れて、知性と慈愛に満ちた性格であることが窺える。それ故、日本国存亡の危機に御心を痛めておられた。
国民のこれ以上の犠牲を防ぎたい一心で終戦の聖断を下すシーンは、本木氏の天皇に寄せた演技のお陰でジンと来た。
我が国がこの壮絶な「いちばん長い日」を経たことで、今日の平和な暮らしがあると云うことを忘れてはならない。
一国の未来を決すると云う行為は一筋縄では行かぬ。そのための犠牲は数知れず。様々な想いを胸に、歴史の転換点を戦った人たちの願いがこめられているのが「今」であろう。
だからこそ、先人から託されたものを守り抜かなければならない。次世代へきちんと渡さなければならないと思う。
[以降の鑑賞記録]
2020/05/03:Blu-ray
2025/08/05:Blu-ray
※修正(2025/08/05)