劇場公開日 2015年8月8日

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「日本人として観ておきべき作品」日本のいちばん長い日 えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本人として観ておきべき作品

2015年8月10日
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『日本のいちばん長い日』を鑑賞。
「クライマーズ・ハイ」「わが母の記」の原田眞人監督最新作となる。

1945年8月、大東亜戦争(太平洋戦争)が昭和天皇による玉音放送によって集結されるまでの数日間を描いた半藤一利によるノンフィクション作品の映画化である。

終戦間際、本土決戦かポツダム宣言を受諾するかで揺れる鈴木貫太郎(山崎努)内閣。そして昭和天皇(本木雅弘)による玉音放送で終戦が宣言させるまでに何が起こっていたのかが明らかになる。

この作品は終戦を描いた作品であり、戦争自体を描いたものではない。よって戦争の悲惨さや命の尊さなどを直接的な映像では語ってはいない。
しかしその時、国民は、陸軍は、海軍は、それぞれの立場での考えはどうであったかが実に丁寧に描かれており、戦争は始めるより終わらせることの方が遥かに困難である事がひしひしと伝わってくる。

とにかく俳優陣が素晴らしい。山崎努、役所広司、堤真一等のベテラン陣は勿論のこと、本土決戦実現に奮起する畑山少佐を演じた松阪桃李も素晴らしかった。
しかし、やはり特筆すべきは昭和天皇を演じた本木雅弘である。独特のイントネーションや雰囲気などは正に昭和天皇そのものである。
スタッフ、キャストそれぞれのこの作品に対する思いがこれ以上ないという程作品に現れており、終戦70周年に相応しい出来映えとなっている。

内容が内容なので、多少なりとも大東亜戦争(太平洋戦争)に関する知識が無ければちんぷんかんぷんだと思うが、逆に日本人としてそれはあまりにも恥ずかしい事であり、是非予習をしてでも観ていただきたい作品である。

面白いとか面白くないとかそう言う次元で観る作品ではない。俳優たちの熱演を通じて、現在の平和がどのようにして作られたのか。その真実を知り、体験する作品である。

えのきち