怒りのレビュー・感想・評価
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人を信じるとは
凄惨な殺人事件の犯人らしき3人の男たちの話だ。
テーマは人を信じられるかどうか、ということだと思う。人を信じるというのはどういうことか、その人の言葉を信じるのか、人格そのものを信じるのか。非常に哲学的なテーマである。
映画では、3人の男たちはそれぞれに周囲に嘘を吐く。嘘を吐かれてもなお彼を信じられるかどうか。人を信じるというのはオールオアナッシングではなく、程度の問題であったりする。そして信じている度合いがそのまま自身に跳ね返り、人間性の限界が問われる。男たちと関わった人物は、ハラハラと泣いて彷徨い、或いは慟哭する。とても難解な作品で、グロテスクな表現もあるが、非日常の極限状況をストレートに描写していて、追い詰められた人間性のありように迫っていく。
こちらが精神的に弱っているときに観ると、心臓を鷲掴みにされるような衝撃を受ける。観るにはエネルギーが必要だ。人間の関係性について極論ともいえる状況下での振る舞いを、冷徹に現実的に描く秀作である。
人は人をどこまで信じられるのか?
ツイッターやSNSなどで、簡単に人と出会える世の中。
気軽な分、その人を本気で信じることができるのか、不安な要素もたくさんあります。
それでも、相手が何よりも大切だと思えるなら、その人を本気で信じることができるはずです。
今回、この映画で重要なカギを握るのは、3人の男たち。
田代、優馬、田中。
始めは、信頼して心を通わせていましたが、徐々に不審な点が出てきます。
何もかもが疑わしく感じてしまう男たち。
彼らの言うことを信じて、共に生きようとするものの、心のどこかでは疑ってしまうのが人間…。
それでも、本気でその人を信じた時、見えてくるのは、
信頼か
絶望か。
本当の悪人とはどんな人なのか?
最後の最後まで、真実が分からないのが恐ろしいです。
人の善意を鵜呑みにできないこの世の中に、「怒り」を感じると共に、無情な「悲しみ」を感じるラストでした…。
最後まで胸のつかえが取れない映画です。
最後に…
気迫あふれる役者の方々の演技に圧倒し、坂本龍一さんの素晴らしい音楽に酔いしれることができました。
豪華俳優陣が作り出した、スリリングな世界を堪能するべく、ぜひ映画館へ足を運びましょう(笑)
信じていたものが崩れ去るとき
疲れた
胃がもたれる・・・。
制作側の熱量や、周りの評価の高さから期待に胸を膨らませ休日深夜、レイトショーにて鑑賞しました。
期待していた映画だけに下調べも抜かりなく・・・。
八王子で起こった未解決殺人事件を軸に、容疑者疑惑のある男たち三人の物語が事件後、三者三様平行線で進んでいく訳です。
その中で描かれる人間模様。
テーマこそ同じですけれども、取り巻く環境や背景が違うので、それぞれに違った趣があります。
私の周囲では、綾野剛と妻夫木聡の同性愛加減がすごい!役作りが!役者だね!と大変話題になっておりました。
調べてみると、なるほど、役に入り込む為にクランクインの1ヶ月前から同棲していたとのことです。
あの雰囲気はそうして作られたのですね、、納得です。
テーマ自体は信じることの難しさなのかな。
結果的には、信じた結末と、信じなかった結末が描かれていて、タイトルの「怒り」についても納得です。
外的要因によって、ちょっとした衝動が、原動力になってしまうんですね。それは、どんな人も一様にそういえる訳ですね。
そんな中でやっぱり人を信じるというのは、これもう至難の業ですね。
ひとえに己の覚悟ですね。もう捨て身で信じるしかないじゃない・・・。
三者三様の人間関係を同時に描く手腕はあっぱれ。
長い尺も、そういうことならしかたないのでしょうか。
しかし長かった!久しぶりにつらかったです笑
しかし最後まで鑑賞できたのは、ひとえに出演されている俳優陣の演技力の凄まじさに他ありません。
みなさん、素晴らしい演技で終始圧倒されっぱなしでした。
名だたる名優の中で負けじと輝いていた沖縄の男の子、他の所でもみてみたいな〜。
一言でまとめると、胃もたれ映画です。ヘビー。
腑に落ちない
原作と監督が悪人コンビの新作ということで注目していたが、映画館に行く度に、名優たちが泣き叫ぶ熱のこもった演技を予告で見せられ、感動を押し付けられそうなイヤな予感がしていた。
しかし周りの評判が余りにも良いので、思い直して鑑賞したが、結果的には予告で感じた印象とあまり変わらない映画だった。
予告から推測できる展開を、そのままじっくり描く前半は退屈で、とっとと話を進めてくれと思うし、後半は腑に落ちな展開にすっかり冷めてしまった。
「信じることの難しさ」がテーマなんだろうが、そこまで親しくなっといて、そんな大事なことを隠したり、ちゃんとコミュニケーションをとらないヤツは信じられなくても仕方ないでしょ。
「信じてあげられなくてゴメンなさい」って泣いてないで、「ちゃんと話しとけ、ふざけんな!」って怒るとこじゃないか?
それに加えて、犯人が異常な行動に出るのが唐突で、取って付けたように感じた。原作者も誰が犯人か決めずに書き進めていたと語っているが、それなら三人の中の誰も犯人じゃなかった、という結末にした方が、より意外性がありテーマが鮮明になったのでは?
あと、レイプするのが米兵というのは、問題意識としては理解できるが、物語の普遍性が損なわれてしまい、散漫になった気がする。
3つのエピソードを交差させる演出は、とんでもない離れ技で、大量の情報を短くまとめた手腕は素晴らしいが、情感たっぷりにかかる音楽や役者の熱演は、話に乗れなくなった自分には只々鬱陶しく感じられた。
序盤、3人の似た顔の人が並列に進んでると理解できなかったから、顔を...
信じるとはなんぞや
完成度は高かった!共感はできなかった。
予告編も見ず、原作なども知らない事前知識0で鑑賞しました。
演者さん達の演技力も高く、画も綺麗。題材も重く深くて、薄っぺらい映画とは違って完成度は高かったように感じました。
私は映画を観る時、状況は違えど自分の体験に置き換えたりして共感しながら観て心を震わせたりするのですが、この映画にはその「共感できる部分」が少なく「よくできた映画だなー」と客観的に鑑賞する感じになってしまい心が震えるとこまでいかなかったです。なのでこのような評価になりました。
映画の楽しみ方は人それぞれですし映画の完成度は高かったので楽しみ方によってはすごく楽しめる映画なんじゃないかな?と思います。
それと、他の演者さんの方々が素晴らしかったせいもあると思いますが、広瀬すずさんがちょっと自分的には微妙だと思ってしまいました・・・こういう役はちょっと合わないんじゃないかと。もちろんとてもよかった部分もあるのですが、ところどころ「広瀬すず」が出てきてしまうように感じる部分があって悲壮感なのかなんなのか、圧倒的に「何かが足りなかった」ように感じてしまいました。大事な役なのでなおさらそう思ってしまったのかもしれません。すみません。。。同じ女性の宮崎あおいさんと比べてしまったのかもしれません。宮崎あおいさんすごかった。
怒り
観終わってぐったり
劇場を後にしてしばらくこの作品のことしか考えられなくなっていました。
この上ないくらい『怒り』にのめり込んでいました。
タイトルがタイトルなので、登場人物たちが何に怒っているのか、みたいな視点で観ようとしましたが、そんな客観性も持てなくなるくらい心が締めつけられ苦しくなりました。
そして映画が終わる頃には同じ怒りを感じ、悲しみを感じていました。
ネタバレは避けて書きますが、明かされる犯人の実像は救いようのないクソです。
その事実がまたどうしようもなく重くのしかかる。
その人を信じていたのに、残酷な形で裏切られてしまったのにまだ信じようとする側の姿もとてもつらいです。
この作品を通して社会にはどうしようもない奴もいるとか、親切が何の価値にもならないとか、そういうのがメッセージとして発信されてるとは思わないし、受取ろうとも思いません。
ただ、信じることの怖さや疑うことの罪深さ、疑ってしまうことへの憤り、そして何より信じたい人を疑ったとしても信じていたいということははっきり感じました。
別の場所で起きている3つのストーリーが様々なリンクポイントを通して行ったり来たりする編集の巧みさも手伝って、違う人々の話なのにとても重なって見えました。
そういったことものめり込める要素の1つではないかと思います。
本来であれば5つ星でも何の不満もない作品なのですが、0.5だけ欠けたのは途中、スクリーンから目を逸らせてしまった僕の心の弱さです。
素晴らしかった。
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