「信頼の困難さとそれゆえの怒り」怒り hatoさんの映画レビュー(感想・評価)
信頼の困難さとそれゆえの怒り
同じ原作者(吉田修一)、同じ監督(李相日)の『悪人』は刺さらなかったが、これは刺さった。
怒り。やり場のない怒り。ただ叫ぶしかない怒り。
俳優陣の演技が凄すぎる。
愛子(宮崎あおい)が、「私が田代君と暮らすのが、心配?」(父 沈黙)「愛子だから?」の宮崎あおいの表情が心に突き刺さる。
信じることの意味と覚悟を突きつけるシーン。愛子は父を責めないゆえ、余計に痛切だ。
終盤で犯人が言う「おまえ俺の何知ってて、鼻から俺信じられるわけ?」。犯人の怒りの原因は明かされないが、信じていた人に裏切られた怒りだったのか、信じていた人を裏切ってしまった自分自身への怒りだったのか…。
信じることの意味、人はどうして人を信じるのか。信じることができるのか。信じたものに裏切られたときの怒り。
三つの物語をつなぐ演出、坂本龍一の音楽も素晴らしい。
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