劇場公開日 2016年9月17日

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「誰に?何に?向けられた【怒り】なのか?」怒り 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0誰に?何に?向けられた【怒り】なのか?

2023年4月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

東京八王子で夫婦惨殺事件があった。
現場に残された被害者の血で書かれた【怒り】の文字の意味?

事件から一年後、
千葉県房総、
沖縄の離島、
東京都内、
3人の正体不明な男たちが現れる。
そして彼らが様々な登場人物と関わり映画が進んでいく。
カメラの切り替えが速く、頻繁に3つの場所は変わる。
話は少しづつ小出しにされて重層的な物語が少しづつ進み
解きほぐされて行く。

八王子の殺人事件の犯人・山神に似た3人の男。
田中に扮する森山未來、
田代を松山ケンイチ、
大西を綾野剛が
それぞれ演じている。

3人の正体不明の男の周辺にいる人々。
森山未來と仲良くなる少女に広瀬すず、
松山ケンイチの雇い主の渡辺謙と恋人になる娘の宮崎あおい、
そして綾野剛のゲイの友人に妻夫木聡。

殺人犯を疑われる男より、疑われたことによって起こる周辺の人への波紋、
それが詳しく描写される。
「疑うこと」
「信じることの難しさ」
「真実を語っていても、疑われる」

一体、血文字の【怒り】の示す意味は?

私には【怒り】のより、人を信じることの難しさ、
【信頼】について描かれた映画に思える。

もしかしたら犯人は、自分に対して怒っている。
憤怒の矛先が【善良な主婦のくれた一杯の冷たい麦茶なら?】
あまりにも理不尽で性根の腐った犯人。

この映画で本当に怒っていいのは、米兵に暴行された泉ちゃんだけだ。

ラストで腑に落ち、救われる映画だった。

琥珀糖
R41さんのコメント
2024年5月9日

琥珀糖さん、コメントありがとうございます。
また考察ありがとうございます。なるほどです。確かにあの事件が田中の下地であるのは間違いないですね。
長い作品で、原作は500ページほどあると聞きました。
映画ではかなりの部分が削除されているようですが、原作を読んだ方のコメントには、そのまま描かれているとのことでした。
私の単純な疑問は、タイトルとその根源である田中の「怒」
他の物語の人物たちの心は描かれているにもかかわらず、田中の「怒」の描き方が随分不十分なのかなと思ったのです。
もしかしたら、タツヤの怒りの矛先が田中を殺したのは、田中という人物は単に「怒り」を誘引する根源だけなのかなとも感じています。

R41
悠々同盟さんのコメント
2023年4月20日

コメントありがとうございます。
なるほど、自分自身への怒り
腑に落ちました。

悠々同盟
みかずきさんのコメント
2023年4月20日

コメントありがとうございます。

私は、映画の題名を重要視しません。
題名が作品テーマ、作品メッセージを表現しているとは限りませんので。題名は無題として映画観賞をしています。
自分の書いたレビューのなかで、自分の感じた作品メッセージ、作品テーマに触れれば良いと思います。

頻繁な場面切り換えは、原作通りとのこと。
本は、自分のペースで読めますし、読み返すこともできます。
しかし、映画は、決められたペースで物語が進行していきます。
分からない表現があったとしても、観返すことはできません(リピートはできますが)。

今回の頻繁な場面切り換えは、本ならば、納得できるまで読み返すことができます。しかし、映画には、それはできません。
複数の場面をまとめて放映し、切り換え回数を減らすなどの、映画の特質にあった修正はアリだと思います。

原作を映画の作り手が読んだ時、これは、一回だけの放映では理解できないと判断すれば、原作を最大限尊重しつつも、一回だけの放映で理解できるような脚本にすることは、許容範囲だと思います。

本には本の特質があります。映画には映画の特質があります。
原作本を映画化する時には、原作を最大限尊重した上で、映画の特質に合ったものにする必要があると思います。

では、また共感作で。

ー以上ー

みかずき
悠々同盟さんのコメント
2023年4月20日

この映画、見た時は題名が
『怒り』ではなく他の形容が良かったのでは?とずっと思ってたのです。
そして琥珀糖さんのレビューみてこの映画の事をまた考えました。
妻夫木くんのプールバーでのシーンやゲイの演技がかなり評価されましたね。
そして自分は何を書いたのだろうとみたら、レビュー書いてなかったー
もう一度みてみます。

悠々同盟