劇場公開日 2016年9月17日

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「妻夫木聡×綾野剛は一見の価値あり」怒り ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5妻夫木聡×綾野剛は一見の価値あり

2019年1月14日
iPhoneアプリから投稿

基本的な構造としては、傷を抱えた3組の人々の元に謎の風来坊が現れ、彼が凶悪犯罪の容疑者では? という疑惑が持ち上がる…というサスペンス。
そして犯人が明らかになった後、彼の動機はなんだったのか? が焦点になります。

まずこの構造が長編映画向きではない(2組ならまだしも3組とは)というハンデがあるので、必ずしも映画製作者の非ではない部分も多分にあるとは思います。
3パートあるので必然的に全体の尺は長く、そのくせ個々のドラマは散漫になってしまい、結論に向けて一直線に進む娯楽映画としてのドライブ感に欠けるわけです。
むしろテレビドラマならもっとじっくり腰を据えて楽しめたかも知れません。

またどすっぴんの宮崎あおいの儚さ、森山未來の身体能力を活かした場面など、楽しめる部分もありました。
なかでも、実際に二丁目を訪れ、現場でも綾野剛と「本当に付き合っているのでは?」と囁かれるほどの空気感を醸し出していたという妻夫木くん演じるリアルな都会のゲイライフは、生々しい現実感があり、この作品最大の収穫でした。

ただ…なんか重苦しくしとけば重厚で本格派でしょ、みたいな前提になってはいませんか?
シナリオに無駄、ムラ、無理があるだけなのに、役者の負荷が高い→必然的に熱演→感動的、みたいな思い込みが「湯を沸かすほどの熱い愛」を始め日本映画を蝕む病理なのだと思います。
そういう作品がありがたがられ、俳優にも内面化されている気がしますが、観客としてはやはり俳優の「芸」の部分を楽しみたいと思ってしまいます。

ipxqi