「怒りについての映画」怒り akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
怒りについての映画
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俺は、犯人と会って話したことがあるという男。
派遣会社の担当の指示ミスだか連絡ミスだかが、事件を引き起こしたと語る。この人がほぼ無名の役者なんだろうけれども、犯人の心を代弁していて名演技であった。
新宿、南房総、沖縄。主役級の役者陣が三つの場所でほぼ重ならないドラマを演じる。刑事役の三浦貴大さんとピエール瀧さんがドラマの核にいて、作品にサスペンス性を与えている。「怒」と書かれた犯人の血文字がある意味全てを語っている。そして犠牲者は犯人の怨恨とは無関係の善良なる者たちなのだ。
見始めてからしばらくは、ずいぶんと複雑な大人のミステリーだなと思っていましたが、ラスト近くになってそれぞれのエピソードが締めくくられるにつれておさまるべきところにおさまった良い映画だと感じました。人間だれにでも覚えがあるはずのLGBTの問題、風俗に関わった女性の問題、独身者が親を看取ることの身近さ、沖縄での米兵の許せない行い、親の借金を肩代わりすることの不条理、施設で育った子どもたちの生きにくさ、人を救えなかったことの自己嫌悪、疑いをもたらす様々な情報への対処法など勉強になりました。
森山未來演じるタナカさんはある種極端な人物ではあるけれど、怒りをむける相手と方法を間違ってしまうことの愚かさを描いて秀逸な映画でした。「ウォーターボーイズ」「ミュージアム」「悪人」の妻夫木がサラリーマンで金持ちのゲイを演じる。たしかに大河主演級がぞろりと出演している。
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