「『怒り』の意味は?」怒り nakameさんの映画レビュー(感想・評価)
『怒り』の意味は?
予告を見て、あんなに大きく書かれた『怒』はいったい何なのか。それが知りたくて見に来たのに、その血文字の『怒り』の意味は最後まで肩透かしな感じが否めなかった。
この映画を見て確かに怒りは感じるし、それは登場人物とシンクロしたからこそ起きる怒り。でもその怒りと血文字の『怒』はシンクロしない。
それに、真犯人は思ったことを事細かにツイッターかよってほどに壁に刻んじゃうひとなのに、『怒り』だけは『怒』だけ。それにも違和感がある。しかも、あんなに大きく2度も書いている。
なのに、真犯人の怒りの答えがあれだけ?
怒りの意味が映画の真意だと思いたかったのですが、テーマは「人を信じることの難しさ」だったのでしょうか。
妻夫木さんのゲイのシーンや宮崎あおいさんの「通報した」と雨のなか泣き崩れるシーンなど、予告の制作(集客)を意識してつくったのかな?と思えるシーンがみえて少し冷めた。しかも、予告で出てきたシーンが映画の中の流れでどれも不自然。
広瀬すずのレイプシーンはどう転ぶか分からなすぎて予告でも出せなかったのかもしれませんが、ゲイのシーンといい、あそこまでリアルにする必要はあったんでしょうか。
おかげで、公園のシーンは殺意を覚えるくらい『怒り』はわきましたが。
結末として、信用されなかった2人が無実で最後まで信用された人物が犯人というのも報われない。
信用→疑念の描写とか、少年が犯人を心から信頼するまでの描写がもっとあればもっとすんなり結末を受け入れられたかも。
最後の展開が早くて疑念を消化するまえに終わってしまった感が否めない。
ただ、演者さんたちの熱演はすごい。
演技で冷めることはなく、むしろ引き込まれる。
ここまで酷評のようだが、観た後でこれほど色々思わせられる作品もなかなかない。観た人がどう感じるのか気になる作品です。これが製作者の意図だったらすごい。