「中途半端な映画」怒り ぶひひさんの映画レビュー(感想・評価)
中途半端な映画
まず、映画中盤で犯人が分かってしまう。テレビで犯人が整形をしたと伝えるニュースで、ホクロと利き腕の特徴を報道しあからさまに2人を怪しいとしてしまったので、犯人は残りの怪しまれていない1人だと特定できてしまう。(整形するとき特徴のあるホクロはとるのが普通では?)だから、いい意味で裏切られることを期待していたが、予想通りだったので「あれ?これで終わり?」としか思わなかった。
人物描写も浅く、感情移入もできず、登場人物の言動をほとんど眺めているだけになり作りとしては成功しているとはいえないだろう。だから、広瀬すずが米兵にレイプされる場面は不要で、もっと人物描写に時間を割くべきだ。
また、映画終盤で犯人の元同僚が犯人について話をする場面があるが、結局殺人の動機ははっきしないまま(あれが動機だったら今まで何人殺人を犯していることやら)でお茶を濁した感が否めない。この場面はもっと前半部分で登場させ、少しずつ犯人像を語らせ、3人の場面とうまく重ねれば誰が犯人かわからない、一級のサスペンスになったはずで、ここはもう構想ミスといってもいいだろう。
疑われていた二人が無実で、疑いを持たれてなかった一人が真犯人だったわけで、そこに価値を見出しているのかもしれないが、それなら3人の人格をほぼ同じに描写しないとならないのでは?口が重く自らを語らず内向的な人と、快活で外交的な人(いすれも表面的だが)どちらを疑うものか考えれば、ここに特別な意味を持たせるのはかなり無理がある。
後から考えたときに実に巧妙な伏線が描かれていて、「やられた!」と思えるなら・・・だけれどそれもなし。
各俳優の方は熱演されていたと思う。しかし、逆に言えばそれだけの価値しかない映画。全く期待はずれであった。
この映画で目新しいものはありません。怒りや信じることの難しさ?そんなものは生きていくうちに、いくらでも経験し、感じるものです。この映画を見なければ深く考えることが無かった?まあそういう方もいるかもしれませんけどね。