「文句無しにいい演技!!」怒り まーちさんの映画レビュー(感想・評価)
文句無しにいい演技!!
役者陣が全員うまい!
綾野剛見たさと、渡辺謙が出てるなら例え脚本がイマイチだったとしてもそれなりに面白いだろうな〜くらいの気持ちで原作も知らずあまり前評判などもチェックせずに映画館に足を運びました。
結果を言えば妻夫木聡に感情移入し過ぎてしまって号泣一歩手前…久しぶりに映画館で涙しました。
千葉の漁港、東京の2丁目界隈、沖縄の離島、それぞれの場所で別々のストーリーがあり、それらは終始ひとつには交わらない。
それぞれの物語の共通点は、一年前に起きた殺人事件の逃亡中の犯人のモンタージュと風貌が似ている人物が身近に現れたことと、彼らが過去を語りたがらないこと。
各々過去に影のある3人の人物と、3人を取り巻く彼らを信じたい各々の葛藤のストーリーがスイッチングされながら展開する。
信じたい、信じたくない、信じている、信じてはいけない、
人はどこまで人を信じれるのか?
信じてはいけない人を不用意に信じてしまってはいないか?
疑念を抱いた時にどうするのが最良だったのか?
信じてしまうのは善か悪か?
信じきれないのは愛が足りないのか?
信じることと愛はイコールなのか…?
渡辺謙…漁村のお父ちゃんが思っていたよりずっと上手かった。私自身が千葉県の漁師町育ちなので、その私が違和感感じないんだからやっぱり演技派なんだろうな。
宮崎あおい…発達障害で渡辺謙の娘、ちょっぴり足りない感じがよく演じられていた。この女優さんは何だかんだ演技の幅が広いですね。
松山ケンイチ…レインコート姿がかの市橋達也を思わせるし、事件のバスタブといい沖縄離島パートと相まって市橋事件のオマージュ作品なのかな…と。彼を見て思った。
原作を読みたい、もう1度映画館に見に行きたい。
綾野剛…普段は男臭い役が多いし彼自身もそんな印象なんだけど、この作品では儚げで愛おしい。新しい面を見た気がする。
妻夫木視点で見ていたからよりそう思うのかな?
妻夫木聡…ちょっと下品に言うと冒頭のプールのシーンの「雌の目」の演技にドキッとした。言い寄られるのが満更でもない感じ、とても上手い。
自分も含めて、リアルな女性を見るようでいたたまれない気持ちになった。(でもタチ)
もうその瞬間から彼の視点で感情移入してしまったんだと思う。
森山未來…彼は本当にいい役者さんになりましたね。怒りでの役は個人的にはあまり好きではないのですが、こんな役も出来るんだなというのは関心です。中盤までの役は本当に上手い。
後半はちょっと説得力が無い感じがしましたが、それも「理解し難い存在」としては上手いのかなと。
広瀬すず…この子は本当にいい女優になりそうですね、泣きのシーンは特に上手かった。
本当に今目の前で事件が起きたように感じるほどいたたまれなかった…。
すずちゃんの同級生役の男の子、彼だけがちょっと他の演技派俳優陣に負けちゃってたかなという感じ。
これやっぱり松戸の市橋事件が原案になってるのかな?
凄く考えさせられるし胸を鷲掴みにされる作品になりました。
信じるということと、疑いを持つこと、自分自身への「怒り」に向き合う話です。
他者に対して抱く「怒り」だけが犯人だったというお話。
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1度目はキャスト以外の前情報無しで視聴、その後に原作を読んでから2度目の視聴をしてきました。
キャストもストーリーも展開もセリフも結末も、全てを知っていてもそれでも胸がギュッとして涙が出る素敵な映画。
そして初めてパンフレットを買ってみた映画にもなりました。
大切に何度も読み返したいと思います。