「言葉にできない「怒り」」怒り みやみさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉にできない「怒り」
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社会的弱者の諦めることしかできない憤り=「怒り」を、容疑者3人をめぐる人間関係で描いている作品。
冒頭で起きた事件は社会的弱者の抱える「怒り」が表出したにすぎない。
山神がただサイコパスだから起きた事件では、ない。
そこには言葉にできない「怒り」があった。
風俗店で働いていた女
米兵にレイプされた女
「男はどれだけ女とやろうが、ヒモになろうがなんだっていい、けど女は…」
渡辺謙演じる父の言葉が、女性も社会的弱者であることを思いしらせている。
だから、広瀬すず演じる泉は「誰にも言わないで」と言うしかない。諦めることしかできない。
マスコミと警察に対するアンチテーゼ
テレビ番組を用い行われる大風呂敷を広げた公開捜査
その影響で登場人物たちは信じたい人を信じられなくなっていく。
信じたいと思えば思うほど、「もしかしたら殺人犯かもしれない」という疑いが募っていく。人を信じることの難しさ。
しかし実際の犯人はそんなテレビ番組とは関係のないところで発見され、マスコミに対する皮肉に思えた。
キャストの力強い演技が素晴らしく
映像美、映像演出も優れていて
映画を見終わったあと心に残り、今の日本について考えさせられる
とてもよい映画でした。
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