ペンギンズ FROM マダガスカル ザ・ムービーのレビュー・感想・評価
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子供が見捨てられた時、「納得がいかねぇ!」と言える熱さ
「卵は毎年2、3個無くなるものだよ、それが自然だ」
「あーそうか、自然ね、ごもっともって感じだけど、何かが心の奥底の方で叫んでるんだよ、いや意味わからんて!!!」
この映画の前、「皇帝ペンギン」を鑑賞していた。ドキュメンタリーにどことなくストーリーをつける事で没入感を増そうという試みは面白い。孤立したペンギンの末路には感情移入し、考えさせられた。その一方で求愛ダンスの際の舐め回すようなカメラワークになんとなく違和感を感じてもいた。
その後こちらの映画を鑑賞したわけだが一言で表すと
ぶ っ 飛 ば さ れ た。
冒頭、南極にて一直線に並んで移動するペンギンの群れ。先頭付近のペンギンが倒れ、後続がドミノ倒しになる中、主人公の一人である隊長は華麗に避けて列に並ぶペンギン達に問いかける。
「(脳死で並んで)馬鹿じゃないのか?どこに向かうか分かってないんだろう。」
列のペンギン達は
「いーじゃない」
「どこだって構わない」
と能天気で答える。直後、ペンギンの卵が危険な方向に滑っていくのを隊長が発見、本感想文の冒頭のやりとりに繋がるが、列のペンギン達の能天気さは変わらない。
ここで隊長は宣言する。
「俺はたった今から自然に逆らうと決めた!」
そして隊長とコワルスキーとリコの3人は列から離れ、超絶スキルとギャグパワーで卵の救出に向かう。
人間社会のメタファーのようなブラックジョークをキメた後のこの謎の熱さ。まるで石川賢やTRIGGER作品に通じそうな灼熱の展開がいきなり心臓を鷲掴みにし、92分間解放してくれることはなかった。
私の文章力ではこれ以上は難しいので、シビれた箇所を以下に箇条書きしていく。
・吹き替えが優秀。本国版はベネカンがいる。
・いい画を撮るためにペンギンを突き落とすドキュメンタリー野郎のクズっぷり。
・突き落とされて「こうでなくちゃ」と笑ってのける隊長。
・「アシカには白目がない?じゃあ思いっきり左を向いたらどうなるんだ?」→渾身の右フック
・敵の狙いが可愛い動物をブサイクにして人間に捨てさせ、さらに殺処分してもらおうというあまりにもブラックジョークがすぎる発想。
・怪物化してから正気を取り戻すのが1番早かったのは意外にも破壊王リコ。
・本作のボスであるデニス?ディーン?とにかくタコの結末。罰なんだけど、どこか救いがあるような感じがグッド!
あと、クライマックスでデイブが復讐を完遂した際の虚しさの吐露とその切り替えも皮肉が効いていい感じ。
・本作の諸悪の根源は人間なのに登場する動物は敵も含め一匹も人間を悪く言わない。
さて、最後になりますが最近アニメはエゴを刺激するグロいものが多くなっていますね。自分も見ることがあるので悪くは言えないですが、ぶっちゃけそう言った作品群よりも本作の方が満足度が高かったですね。別にグロがなくなって、1話から綿密に練られた伏線がなくたって面白いものは面白いのだなと再確認することができました。
子供とニコニコみた
楽しかった。でも隊長があんなポッと出のヒーローに気位で負けるなんて!そんなことありえない!とコワルスキー&リコのしかめっ面に同調しました。
オープニングの赤ちゃんペンギン時代もかわいいんだけど、彼らのミステリアスさが目減りした気がして残念。なにより「しろうと」と言われてハイそうですと受け入れるはずが無い!と思ってしまったので、脚本的には納得しないままラストを迎えました。
テレビシリーズでは本物のスパイらしいエピソードもあったし、私としては彼らは本物のエージェント(またはエージェント崩れ)だと思いたいのよね。
映画としては「マダガスカル3」の方が文句なく面白かった。あのアクションに次ぐアクション、仕掛けに次ぐ仕掛けの大アトラクションぶりには感服です。
キャラクターの性質も関係性も期待通りだったし。ペンギンズはストーリー性を持たせるために、キャラクターがちょっと変わってしまっているので、そこが残念。
アクション部分はまあまあかな。ギャグのネタはテレビの方がシビアで面白いかも。自分が醜いから可愛いものが許せないという理屈はゲスくていいのだが、打ち出し方ももっとゲスくして欲しかったかも。
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