「知識0でも楽しめた」屍者の帝国 あきさんの映画レビュー(感想・評価)
知識0でも楽しめた
話が分かりにくい分かりにくいと聞いていたので、どれだけ分かりにくいんだろう…と不安になりながら見てみましたが普通に面白かったです。
要約すると、M、カラマーゾフ、ザ・ワン、ワトソン、それぞれが願いを叶えようと奔走する話と言った感じでした。
M→争いばかり起こす生者を悲観し、手記を用いて生きる人全てを屍者にして、哀しみや怒りと言った争いに繋がる心を無くさせ、争いのない世界にしようとした。
カラマーゾフ→Mの企みを阻止するべく手記を破棄しようとした。また、手記には屍者に魂を取り戻させる方法が書かれてはいるが、それは非常に危険な行為のため、ワトソンを思いとどまらせようとニコライと自分の死を見せ付けて忠告した。もともと暗殺される身であったための自害でもある。
※話の流れ的に、魂を取り戻させる方法とは生きた人をそのまま屍者にすることではないでしょうか。(屍者というのは、病などで一度普通に死んでしまった人間を生き返らせるもの。生きている状態から屍者にすることはない。カラマーゾフがニコライを屍者化させたとき、ワトソンが殺人だ!と非難したのはそのため。)
だからニコライとカラマーゾフは生きたまま屍者になるところをワトソンに見せ付けたのでは…?
ザ・ワン→手記と自らの製造者の脳を使用して自分の愛した人を蘇生させようとした。
ザ・ワンは結局愛する人を蘇らせたかったという為だけに、ワトソンやMを利用した。
ワトソンをMの場所に呼んだのは、自分が今後使う肉体(フライデー)と愛する花嫁の器(ハダリー)が欲しかったから。
Mを利用したのは、Mの所持していたザ・ワンの製造者の脳を使うため。手記だけでは※に書いた方法で魂を呼び戻すことはできず、製造者の脳が必要だったためわざとMに捕まった。
ワトソン→手記を手に入れて友人フライデーの心を取り戻し、フライデーが生きていた頃のように過ごしたかった。
ワトソンが最後自ら屍者化したのは、もう二度とあのような大量殺戮が行われないように、自らの脳に手記を封印するため。
また、フライデーなどの屍者を、魂の持った屍者にするためでもあると思います。
屍者に魂を持たせるには、「手記」と「ザ・ワン製造者の脳」が必要だった。ワトソンはその製造者の脳の役目を自らの脳で代用し、フライデーの魂を取り戻させたのだと思います。
大量殺戮を行わずともフライデー達に魂を取り戻させることができたのは、ワトソンの脳がザ・ワンの製造者を越えていたからできたのではないでしょうか。
エンドロール後の話については、おそらくワトソンもフライデーも、ワトソンのなかに手記を取り入れることで魂(感情)を取り戻すことはできたけれど、生前の記憶は無くなってしまった、ということだと思います。
それぞれ生前の記憶は無くし、屍者として新たな人生を歩みはじめた。ワトソンはフライデーを生き返らせようと足掻く悲しい医学生ではなく、シャーロック・ホームズと共に駆け巡るような、自由奔放な人生を…という具合に。
完全に忘れてしまうのは悲しいので、二人共少しでも覚えててくれたらなあ…と思います…泣
まあワトソンの願いはもう一度フライデーと話すことだったので、その願いは叶えられているのかも知れませんが。
全体的には悲しいけれど、大切な人を生き返らせようと必死になるワトソンの姿はとても感動的でした。
強いて言うなら、登場するキャラ全員がとても魅力的でしたので、それぞれのキャラの過去などももっと見たかったです。特にザ・ワンは、なぜ大量殺戮を犯してでも花嫁を取り戻したかったのか、ザ・ワンと花嫁の関係性がすごく気になりました。
あとこの時代にこんな技術はあり得ないとか言っている方もいるようですが、この物語をやる上でそんなリアリティ必要ありますかね?
そんなこと言い出したらファンタジー全般を否定することになると思います。
そんなことより、終盤で突然ワトソンとハダリーの距離が縮まったことの方が気になりました!
ワトソンがフライデーに執着するのは再三言われてたので分かりますが、ハダリーはまだ出会って間もないじゃないですか!笑
そこだけ気になるので★-1です。笑