「今、再び書を開く。(なんつって)」屍者の帝国 ゆずはちみつさんの映画レビュー(感想・評価)
今、再び書を開く。(なんつって)
いくつか原作とは相違点があります。
映像化においては仕方がないとは思いますが、
原作にある個人的に好きなシーンがカットされていたことはちょっと悲しかったです。
原作第一部Ⅱ節にある女性クリーチャとの遭遇の場面。
お城の地下施設で十字架に張り付けられた鉤爪の女性の屍者と邂逅し、ワトソンが驚愕した瞬間です。
映画化の際はぜひ再現してほしかったのですが、時間の関係上描き切ることはできなかったようですね。
そもそも原作では優秀な一医大生のワトソン君が
「親友を蘇らせた狂気の技術者」
という設定に変わってるのだから仕方がないとは思いましたが……。
しかもフライデーは親友じゃなくて任務遂行のため支給された備品なんですけどね(笑)
そこは映像化においての味付けなんでしょう。
オリジナルとはまた違った魅力を感じます。
原作が難解なため、アニメで簡略化や味付けをすることによって見やすさ(親しみやすさ)を出しているのはありがたいです。
「カラマーゾフの兄弟」も途中で挟んで読んでいたので、
脳内で映像化するのが非常に難しかった作品でした。
(故・伊藤計劃氏が書いた第一部のラストまでは一気読みするほどのめり込みましたが)
映画鑑賞後の今再度本のページをパラパラとめくると、
「ああ、このシーンはこういう意味だったんだ」
と頭の中で整理できるようになりました。
もう一度原作を通読したくなります。
今度は頭の中でシーンを再現しながら読め、映画との相違点を味わえる気がします。
原作を理解した上でファンの方にとっては「違う」というイメージが強いかもしれませんが、
「原作難しいなー」と思う方には補完としてちょうどいいと思います。
声優さんも豪華ですしね。
(山下大輝さんがニコライだったのは嬉しい発見でした)
あ、でもバーナビーはイメージ崩れてなかったですよ。
原作と大差ありません(笑)
余談ですが、同日観た「心が叫びたがってるんだ」で
ワトソン君役の声優さんがガタイのいい野球少年(それも準主役)を演じていることに全然気づきませんでした。
声優さんってすごいなって思います。