「風に立つさだまさし。」風に立つライオン 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
風に立つさだまさし。
「風に立つライオン」見ました。
三池監督の映画でバイオレンスもホラーもコメディも排した作品は久々ですね。お得意の三池節はやりすぎ感があるなーって映画はあるけど、やっぱり三池監督は観客を楽しませる術を知ってる監督だと思ってます。なのでこのような真面目な映画もやはり面白く作られていた。扱った題材がもう感動必至なのはあるし、3.11をチラ見せするのはズルいなーってのもありますが...。
まずエンディングの話なんですけど、さだまさしの歌が良すぎます。ラスト付近〜エンディングにかけて流れる、主題歌。これ例えばROOKIE'SのエンディングでGReeeeNのキセキが流れたら天丼演出すぎて笑うしかないじゃないですか?でも今作は、もうさだまさしの歌がストレートにグサグサと刺さる。さだまさしの看板に偽りはないし、なんと言っても歌の歌詞に乗せて見せるアフリカの風景各所を見ているだけで涙が出てきた。
例えば少年に銃を与えて戦わせるなんて事実に今更驚きもないし、実際そこを推してくる演出もない。その分アフリカの風景をこれでもかと見せてくる。全編ケニアロケの大変さは容易に想像できるが、天晴だ。
役者も良かったし、セリフも良かった。特に「ここは法律で人を守れる場所じゃないんだよ!オコ」のセリフがね、こちらは固まってしまいましたよ。これはアフリカ内戦の実情を捉えた、非常に秀逸な一言。興収が振るわないようだから、このセリフをCMにも是非入れて欲しい。
役者については、最初に出てきた石橋蓮司の部下みたいな人、演技下手すぎませんか?ちょっとビックリしました。あとは、真木よう子の見た目、20年前と現在の違いが小さすぎて分かりにくかった。最初意味が分からなかったし、理解できても「三池監督ふざけてるのか?」と思ってしまった。萩原聖人も含め
、もうちょっとなんとかして欲しかったです。尤も、ストーリー上真木よう子は出てこなくても問題ない気もする。萩原聖人真木よう子関連ですと、この2人に話を聞いているのは一体誰でしょう。的な細かい所がかなり気になる。
細かい所をいろいろ言いましたが、総じて素晴らしい作品です。”心の交流”的なことを謳った作品は数あれど、真にそれが描かれている素晴らしい映画だと思います。