劇場公開日 2015年3月14日

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「僕の「風に立つライオン」は、歌の中だけだった」風に立つライオン 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0僕の「風に立つライオン」は、歌の中だけだった

2015年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

いい映画です、たしかに。
脇を固める役者の安定感がそりゃもう抜群。
現地の子供たちもよかった。

で、何かがたりない。

この「風に立つライオン」には、モデルになる実話(柴田紘一郎先生)、それを基にした歌、小説(未読)、映画、とある。
柴田先生ご自身が長崎大学の方なので、映画の設定は実話に則したものに戻っている。

でも、僕の中では、「風に立つライオン」の世界は『歌』の中にあったようだ。
歌は、かつての恋人に送った「突然の手紙には驚いたけどうれしかった」で始まる手紙が、歌詞の全文になっている。だから、真木よう子が(東京じゃなくて長崎の離島でもかまわなけど)受け取った久しぶりの手紙は、あんな一行ではだめなんだよ!
歌の中の手紙の文章だからこそ、彼の苦労と充実が伝わってくるのに。
一緒に見たわけでもないのに、千鳥が淵の桜は、さぞ美しかろうと思わせるのに。
ビクトリア湖の朝焼けか、キリマンジャロの白い雪か、100万羽のフラミンゴか、草原の象か、どれかがせめて映画の中でどーんと出てきてくれたなら、その世界に誘われていけたのに。

栗太郎