「役者たちのための、崩壊ストーリー??」劇場版 MOZU Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
役者たちのための、崩壊ストーリー??
普段からTVドラマは観ないので、
今回も懲りずに情報なしです。
けど観てなくても楽しめるという
宣伝を信じて劇場へ。
妻子の死の謎を追う、
公安警察官な主人公のお話。
爆破に銃撃にカーアクションと、
派手なシーンが多くて飽きませんが、
ストーリーはぶっ壊れています(笑)
多すぎる登場人物で、
ただパーツ的な場面の積み上げ。
主人公以外はどんな思惑で動いているのかも、
さっぱり分かりません。
悪者たちも、
2人殺すだけのスゴキャラなオカマや、
突然親子を救うライバルらしき男...
その関係性が描かれないまま、
やることは全部ボスのためじゃ、
もう何でもありですね。
唐突なアジア遠征に、
敵アジトの爆破に、
主人公が火をつけるヘリポート...
そんなシーンから、
なぜか突然酔いつぶれたバーで目覚める(笑)
もはや現実なのか夢なのか過去なのか、
すっかり混乱します。
少女の歌などの伏線ぽいネタも一切放置で、
狙いなのかと思うくらいの収束しない脚本。
まさか理解できないのは、
ドラマを知らない僕だけなのかなぁ...。
で、ここまでは文句たらたらなのですが、
そんなことどうでもよくなるくらい、
役者たちの演技が面白い!
日本映画界を背負って立つ実力派男優たちが、
殻を破って冒険してます。
楽しんで演じてる様が
スクリーンから伝わってきて、
ニヤニヤしっぱなし。
主人公の西島秀俊さんと
敵対する伊勢谷友介さんが、
たった2人で緊張感のある
独特の世界観を構築してるのはさすが。
そこにぶっとびキャラの
松坂桃李さんと長谷川博己さんが、
色をつけて印象的にしてる。
ここまで狂気に振り切ってくれると、
それだけで観に来た甲斐ありってものです。
松坂さんのモロヤバと、
長谷川さんのおさえヤバの対比のバランスも面白い。
終始スクリーンに釘付けでしたよ。
役者ってカッコイイ仕事だなぁと、
再認識です。
カメラの構図と照明もイカしてて、
いちいちアートっぽい絵づくりだから、
より演者が映えるんだね。
観終わると、
役者たちの素晴らしい演技を
際立たせるための、
崩壊したストーリーなのか??
と妙な勘繰りまで浮かんできます。
そんな不思議な映画でした(笑)