「再編集を望む」劇場版 MOZU えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
再編集を望む
『劇場版 MOZU』を鑑賞。
TBS×WOWWOW共同制作ドラマの劇場版。
逢坂剛原作のハードボイルド小説の実写化作品。
テレビドラマでありながら映画並みの重厚な雰囲気と独特の世界観で人気を博し、喫煙シーンが多い事でも話題になった。
さて、ファン待望の劇場版となるわけだが、結論から言えば、詰め込み過ぎである。
ドラマ版はseason1と2で展開され、大風呂敷を広げての劇場版だっただけに畳むには時間が足りない。全体的に説明不足な感は否めず、ストーリー展開も少々分かり難い。
元々親切とは言い難い演出ではあるのだが、いくら何でも端折りすぎだと感じる。
誰が味方で誰が敵なのか。
なぜそこにいるのか。
説明不足と脈絡のなさにツッコミどころ満載。
シリーズ全編において引っ張りに引っ張ったダルマも結果的に実に呆気なく物足りない。
そんな中で一際目を引くのは松坂桃李のイカれっぷり。長谷川博巳のそれはドラマでもお馴染みだったが、今作の松坂の演技は見事と言うほかない。
先日公開された「日本の一番長い日」での熱演も素晴らしかった。今後が楽しみな俳優である。
と、厳しめに書いたが、個人的にはこのMOZU
の世界観は嫌いではない。
スピンオフのドラマも制作されており、それらも楽しみに鑑賞したいと思う。
願わくば、今回の劇場版をseason3完結編として長編での再編集をしてもらいたいと思う。
これで終わりにするには実に勿体無い。
テレビドラマ版は決して高い視聴率が取れた訳ではないが、こだわり抜いた作風で劇場版まで制作、公開した事には好感が持てる。
今後も「MOZU」という貴重なコンテンツを大切にして頂きたいものである。
コメントする