ヴィヴィアン・マイヤーを探してのレビュー・感想・評価
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よかった
今現在なら迷惑防止条例で怒られそうな、道行く人を無断で写真撮影する表現にハラハラする。おおらかな時代そのものも描かれていた。
撮影してプリントした時点でかなり満足していたのと、世間に認めてもらいたい気持ち、自分を隠ぺいしたがる気持ちで心が引き裂かれていたのではないだろうか。統合失調症的な分析をしていた人もいた。また世間でもてはやされている写真家についてはどう思っていたのだろう。
孤独であったが、乳母として子供と接していた事で母性が満たされていたのかもしれない。オレも里親なので気持ちが分からなくもなかった。いろいろな矛盾を抱えた人物であったと思われる。
J・K・シモンズみたいなおじさんが、批評をしていてその言葉がいちいちかっこよかった。ご本人に伝えて欲しい。
誰にも見せることなく無数の箱にしまい込まれたネガが好奇心旺盛な1人...
誰にも見せることなく無数の箱にしまい込まれたネガが好奇心旺盛な1人の青年を魅了し、やがて世界中の人を虜にする。ある意味『シュガーマン』に似たテイストのドキュメンタリーで、ヴィヴィアン・マイヤーが遺した写真の一枚一枚の美しさもさることながら、たまたま彼女の写真に出会ってしまったがために生前の彼女を知る人々を訪ねて歩くことになる、この偶然の織りなす深いドラマに胸を打たれました。
不思議な幸福感に包まれる
大量に撮り貯めたネガ。おそらく本人には(その芸術的な)価値が分かっていながらも、どうする事も出来ないでいたと思われる。
専門家曰く。
「最後の(どうしたら良いかの)一押しが分からなかったのだろう」
その為に彼女の作品は、生涯世に出る事が無かったはずだったのだが…。
映画は謎に満ちた彼女の生涯を追い掛ける為に、彼女を知る人物達にインタビューする。観客にはそれらのインタビューによって彼女の人となりを知る事になる。
人によっては“変な人“。別の人から見ると“愉快な人“。
フランス人だ!、嫌違う!のやり取りを交互に編集するなど、本当に「どんな人だったのだろう?」と興味が沸いて来る。
思わぬ出逢いから彼女は一躍有名人へと変貌するのだが、本質的にはやはり【偏屈な人】であり、とにかく【収集癖】の烈しい人。
嫌!物を捨てられ無い人…と言った方が適切か。
物が捨てられ無いのは、何だか今の自分を見てるかのようだ(鬱)
友人もおらず(インタビュー等から)男性には嫌悪感を抱き、結婚もせずに生涯独身だったヴィヴィアン。
その最期は哀しい生涯幕の閉じ方だったのだが…。
何故だろう映画を観終わった後のこの幸福感は。
(2015年10月10日/シアター・イメージフォーラム/シアター2)
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