「再起する人間の美しさ」あの日のように抱きしめて Jun Tanakaさんの映画レビュー(感想・評価)
再起する人間の美しさ
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ラストの「Speak Low」をジョニーが伴奏して、ネリーが歌うシーンは、スリリングで痺れる。調べてみると1943年の楽曲で、連行される前にネリーが歌ったされる。時間的に合わない気もするが、それは言うまい。伴奏中、収容所で付けられた番号をジョニーは見つけ、エスターがネリーだとやっと気がつく。とにかく、愛について切々と歌うネリーの歌いっぷりが素晴らしい。夫との間にあった愛が、消えていくようにも見えるこのシーンは、それだけで観る価値がある。歌い終わり、屋外の庭に一人出て行くネリー、戦争という悲劇の長いトンネル抜けた後ろ姿が、眩しいばかりに光り輝いていた。そこには、人間の再起する美しさを感じさせる。
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