「ファンタジー要素が抜群に輝く」パディントン 森泉涼一さんの映画レビュー(感想・評価)
ファンタジー要素が抜群に輝く
パディントンが初めて外界へ繰り出す冒頭、電車を降りてから人混みの中をかきわけていく姿に何も違和感を持たないロンドンの人々。そして、煌びやかで神秘的な現実離れした内観を目の当たりにしたとき、本作が「ハリーポッター」の製作陣も携わったということを再認識する。振り返るとペルーでのパディントンの暮らしを垣間見る前にこの珍しい熊の生態をモノクロ映像で映し出すシーンが現れるが、ここからの映像美の落差も面白い。
物語は原作が児童文学ということもあり子供に優しい誰でも理解できるものになっている。ここに追求することは特にないが、それよりも出色していたのはファンタジー要素である。
電車を降り、路頭に迷うパディントンをブラウン夫妻が気にかけ一歩ホーム外へ出ると現実離れしたファンタジー要素とリアルな街並みで混交し異色なロンドン街に仕上がっている。他にも細工が功を奏し、例えばコーヒーを持ってくるのでも鉄道模型を使いユニークな運び方をしたりと「ホームアローン」を彷彿させるような子供心満載の演出には大人でも見入ってしまう。
ニコール・キッドマンやパディントン役として声優で出演したベン・ウィショーとキャストも豪華ながら、本作で注視したいのはとにかくファンタジーという要素をどれだけ感じられるか。親子鑑賞すれば様々な刺激をもらえる映画となっている。
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