アリスのままでのレビュー・感想・評価
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意義深い
冒頭、ヤバい!つまらない映画かも…と思ったものの、エンドロールには目頭が熱くなっていました。なんどかそこからしょっぱいものが流れ出ていましたし─。
ジュリアン・ムーアは左で書いて、右で包丁使うんだぁ、普段あまり料理しないのかもね、する必要もないと思うし…あのランニングの仕方はどうなの?とてもじゃないけど習慣にしているようには見えないけど…
正直な話、最初はつまんないことばかり考えながら見ていました。これでオスカー女優なのかと疑いはしたものの、やっぱりオスカー女優だと最後には納得でした。
淡々と展開され、徐々に進行していく病状を淡々と演じている女優の凄さを感じました。知性ある強い女性が悲しいまでに弱々しい姿になっていく様を、ごく自然に演じきっていて、じわりと心に響きました。
内容、脚本も、とにかく素晴らしかったように思います。単に涙させようというものだけでなく、アルツハイマーの現実というものを、率直に、リアルに描ききっていました。この病気の解決策が早く見つかることを切に願うばかりです。そういう気持ちにさせるこの映画は、非常に意義深いものだといえるでしょう。
葛藤。
若年性アルツハイマー型認知症。
己の意思や能力では、どうすることもできない、自身を蝕んでいく、記憶や培ってきたものが、剥がされ落ちていく感覚。
変わりゆく自身と向き合うまでの、また、共存していく過程での葛藤。側にいる家族の苦悩。そして、この疾患と共に生きることや、真に理解し受け容れていくことの難しさ。
夫や子供、同僚を含めた社会が、それぞれどこまでのキャパシティーをもって包摂していけるのだろう?
個々の家庭での、また、社会での役割、自己実現、愛する人と過ごすこと。
限られた人生の時間の中で、人は何を優先していくのか?
パートナーとは普段から考えを伝え合っていかないとなぁ、と個人的に思いました。
人生は選択の連続だ。
自分の記憶に自信を持てないことは誰にでもある。でもそこには、自分の...
自分の記憶に自信を持てないことは誰にでもある。でもそこには、自分の代わりに覚えていてくれた人達がいる。
ノンフィクションであるこの映画は辛い面の方が多く、良い方に捉えることが難しい。素直に喜べるシーンも、「小さいことだが大切なこととして受け止めなさいと」
と聞こえる。
人が自分を失っていく姿をここまでリアルに感じてしまうのはジュリアン・ムーアの演技力だと感じました。良い映画です。。。だからこそ、怖い映画だとも思います。
これはドキュメントなんだと
この映画は、アルツハイマーという病気に対してのドキュメントなんだと理解しました。
決してフィクションでない、現実に起こることなんだと。
日に日に自分でなくなってゆくアリスの現実、自分は、正直受け止められませんでした。
決して楽しい映画ではないけれど、考えさせるいい映画ではあります。自分が元気な時に見ないとチョット辛いかも、です。
記憶がなくなっていく恐怖、自分が愛するものを忘れていくって、本当に...
記憶がなくなっていく恐怖、自分が愛するものを忘れていくって、本当に辛い。そして愛する人たちに迷惑をかけていく切なさ。
重いテーマだ。
尊厳死は許されないの?
当該作品は、6月27日に公開された若年性アルツハイマー病と診断された50歳の
言語学者の苦悩と葛藤、そして彼女を支える家族との絆を描く人間ドラマです。
主演のジュリアン・ムーアは、今年2月の米国アカデミー賞で、
最優秀主演女優賞を受賞しております。
いつでも泣ける様にと、ハンカチを持ちながら観ましたが、
泣かせる映画ではなく、考えさせる作品でした。
つらい作品です。。。
言葉を失い、記憶・思い出を失い、今まで積み上げてきたものを失い、
そして、家族をも失っていく病です。
日本でも、4人に1人が65歳以上の高齢者で、その1/4が認知症と言われています。
自分自身も苦しみますが、最終的には、他人や家族に迷惑をかけてしまいます。
家族なんだから、夫婦なんだから、介護するのは当たり前とは言えません。
なぜならば、どんな人間も夢を持ち、その実現の為に、必死に頑張っているのだから。。
末っ子に妻の面倒を任せた夫を、決して責める事はできません。
また、末っ子も女優という夢を持っているのに、
母親の介護を引き受けた事は、今後、大変な困難が待ち受けています。
当該作品は、人生には何が待っているのか解らないのだから、
瞬間・瞬間を精一杯生きていく事の必要性を訴えているのかも知れませんが、
私は、ちょっと違う感想を持ちました。
発症したて頃に、主人公が自分宛にビデオを作成するのですが、
私には、この気持ちがよく理解できます。
弱虫!プライドが高い!!認知症の方に失礼!!!と言われそうですが、
全ての記憶を失い、自分だけでなく、家族すら解らなくなり、
最後には、周囲の人間を傷つけ、迷惑をかける位ならば、
自ら死んでしまいたいと私は考えています。
これを、「尊厳死」と言うのか、「自殺」と言うかは解りませんが、
そういった死に方が許されても、良いのではないでしょうか?
Michi
スティルアリス
病気を深く掘り下げていくというよりは、割かし淡々とアリスとその家族を描いている。
映画自体は、一番の問題児だと思われていた次女が強がりを言いながらも演劇の夢を実質上諦めて母と暮らす決断をし、“愛について”の戯曲の読み聞かせで終わる。
他の家族も決してアリスの事を思っていないわけではないが、自分の仕事や家庭の事もありアリスの介護を優先するに至っていおらず、(フィクションだが)映画で描かれている部分のその後が本人にとっても周りにとっても「地獄」なんだろうなと少し不安な気持ちでエンドクレジットを見ていた。
現実的には、ビデオメッセージの睡眠薬自殺が成功していた方が全員にとってハッピーエンドだったのかもしれない。
ジュリアン・ムーアは流石のオスカー演技で、彼女の感情の起伏にこちらの感情も大きく揺さぶられてしまったし、現実のアレック・ボールドウィンなら我慢できずにキレてそうだが、夫のおおらかな姿にも心を打たれた。
1つだけ文句と言うか、これは日本語字幕に対して言いたいことだが、エンドクレジットの際に、ずっとぼやけていた「STILL ALICE」という文字がクッキリと浮かび上がる演出がある。
これは劇中でもアリスの思考を表現するのに用いられていた技法で、とても効果的なタイトルコールだった。
そこに字幕でも同時に「アリスのままで」と出てきてかなりの興醒めだった。
この映画を見る層でそれを必要とする人間はいないだろ。
遺伝子検査や尊厳死の問題も
言語学者として大学で教え、家族にも恵まれ、幸せを絵に描いたような人生を送ってきた50歳のアリスが、若年性アルツハイマーにより記憶と知性を失っていく過程を描いた、アルジャーノン的な話。
シンプルなストーリーながら、社会の様々な問題が複層的に現れる。メインの話は知性をアイデンティティにしてきたアリスがそれを失っていく悲しみ、それを支える家族の愛、などだが、他にも重要なテーマがいくつも出てくる。
もしかしたら原作ではそれらの一つ一つがもっと掘り下げられているのかな?と思った。
言葉によって自分で規定してきた人間がそれを失ってしまったら、という告白はとても共感できる。
自分の中から言葉、思考、概念、といったものをうばってしまったら……。知性に頼って自分を守ってきた人間が一番恐怖することではないだろうか。
「アリスのままで」というタイトルも深い。知性や記憶を失ってしまったら、それはアリスではないのだろうか。
社会的な地位や金銭で成功している夫や長女は、それをもうアリスと認めることはできなくなってしまった。
しかし、家族のはみ出しっ子である末娘は、知性を失う前も、後も、アリスに対するまなざしに変わるところはない。
彼女だけは、知性がアリスの条件であるとは考えていなかったのだろう。最後、全てを失ったように見えたアリスが、末娘の問いかけに答えるシーンは泣ける。
してみると、アリスがアリスでいられるのは、アリス自身の問題ではなく、周りの人間が彼女をアリスとみなすのかどうか、ということになると思う。
家族や周りの人間の病気や苦しみへの無理解が、患者にとってもっとも苦痛になる、ということも実感する。
メインテーマと別の問題提起に、「遺伝子検査」がある。
アリスは遺伝性の若年性アルツハイマーで、原因遺伝子をもっていると100%発症するという。そして、子供に遺伝する確率は50%だ。
アリスの子供は三人で、三人が別々の運命をたどる。長女は陽性、長男は陰性、末娘は検査を拒否する。
そして長女は体外受精による不妊治療を受けていて、「子供に原因遺伝子が遺伝しない」治療を受け、男女の双子を産む。
この辺は映画の中でさらりと出てくるだけだが、この辺のドラマだけでもう一本映画を作れるだけのものだと思う。
三人の子供の設定はおそらく遺伝子検査の問題提起のためではないかと思う。
長女がした生殖医療は、おそらく着床前遺伝子検査というもので、複数の受精卵の中から、原因遺伝子のない受精卵のみを選ぶ、というものだ。また、「望み通り」男女の子供を授かった、という言葉の裏には、男女の性別も受精卵を選ぶときに決めた、という意味が含まれている。
こうした受精卵の選別は倫理的な問題がある、と考える人もいる。こうした治療を、末娘ではなく、長女が行った、ということも、意図的な設定だと思う。
家族の遺伝子検査によって、自分自身の運命を知ってしまう、ということはこれまではなかった新しい問題であり、検査により知っても、検査を拒否して知らなくても、大きな葛藤が残されることになる、難しい問題だ。
別のテーマで、「尊厳死」という問題もある。
アリスは自分の最期を、自殺という形でしめくくりたかった。しかし、それはアクシデントによりかなわず、アリスはそれが不可能になってしまったことを嘆くことすらもできなくなってしまった。
このアクシデントを幸運なことと考えるか、不幸なことだと考えるかは、かなり見方が分かれそうに思う。
これも、神様が死ぬ時期を決める、という素朴な考えだった昔にはなかった問題であり、遺伝検査と本質的に同じ問題を含んでいるように思う。
ハッピーエンドに非ず。でも・・・
とかく演技力が求められる難病モノ。でもそこはジュリアン・ムーア、全く文句なし。
体は患者となった彼女が主役ではあるけど、実のところは彼女の身内がどう向き合っていくかが主題になっている気がする。だから安易に美談にせず、観客に考えさせるように含みを持たせた終わり方にしたのには好感を持った。
弦楽器による不安を煽る効果音が印象的。
軽すぎ!
試写会に当たったのでみてきました。
想像してたよりもはるかに、テーマが軽く感じられ現実味に欠けるとおもいました。
アルツハイマーって、もっと家庭内でのいざこざや、波乱的な事がいっぱいあると思います。
アルツハイマーで家族がグチャグチャになって、みんなで髪振り乱しながら苦悩するみたいな事が現実なんじゃないかなぁって思いました。
あまりにも家族みんなが化粧バッチリして綺麗すぎてて重みが全く、かんじられなかったです。
ラストも中途半端な感じだし、ジュリアンムーアの演技は良かったけど!それだけかな。
リチャード・グラツァー監督からの最高級の贈り物
豊かな色彩の衣装や背景、上品な会話や視線、家族への心遣い、一般的な症状の紹介、そして、アリスに託されたスピーチ・・・・・、
この作品は、難病で苦労されている方とそのご家族の方への、「誇りと希望を失わなくていいんです。」という、渾身のエールでした。
live in the moment
アルツハイマー病になった本人が辛いのはもとより、自身の将来の夢や理想を犠牲にしてまで彼女を介護する家族、特に娘に対して、ある種の尊敬の念を抱いた。
目の前のタスクから目を背けずに、事実を真摯に受け止め、家族であるアリスを看病し続けることは並大抵の努力ではないだろう。
家族愛、自分自身との葛藤、感情に流されずに理性を持つことの大切さを学んだ。
忘れないで、私が生きた証を。
試写会にて、《アリスのままで》を鑑賞。若年性アルツハイマーと闘うアリスを、ジュリアンムーアが実に上手く演じている。病を通して、家族が彼女を支える姿は、涙無くして見られない。お前が嫌いだと言われるより、自分の存在を忘れられる悲しさ。病気になった家族を持つ誰もが共感できる名作だ。
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