アリスのままでのレビュー・感想・評価
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すこし話が極端だけど、考えさせられる名作
家族性の若年性アルツハイマー症というのはかなり進行が早く、実際の老人が多くかかるそれとは若干異なっているのだが、それでもやはり深刻なものであるのは確かですね。
役者の方々の演技力によりとても重い気持ちになります。
日本だったらなんらかの希望や和やかさを出してオブラートに包んでしまいがちだけど、つらい「現実」を提示するドキュメンタリー手法が「もし自分だったら」とか「家族がそうなったら」ということに正面から向き合えますね。
それにしてもヘビーな映画でした。すこし地味すぎるけど…
いい時の場合をキレイに撮ったお話
アリスにも本当はもっとわるい時があっただろうなと思いました。そのわるい時が少しだけしか描かれていなかったことと、設定からして共感しにくい部分があります。
ですが、キレイに穏やかな感じでまとまっていたので☆3つ
「STILL ALICE」に感じるそれぞれの想い。
オスカー系は
全て観るという信念のもと、
主演女優賞ジュリアン・ムーアの
女優力を楽しみにしていました。
原作は女流作家リサ・ジェノヴァが、
詳細な取材によって書き上げたベストセラー。
ほぼノンフィクョンに近いだろうストーリーも、
リアリティが好みの僕は、
期待せずにはいられません。
映画は若年性アルツハイマーである
ヒロインが一人称で描かれています。
その一人称を全て背負った
ジュリアン・ムーアは圧巻の名演技。
オスカー受賞は、やはり納得でした。
それに加えて
夫アレック・ボールドウィン始めとする、
サブキャスト陣の内面を描く演技が素晴らしい。
両者の対比する視点のバランスが、この映画の魅力でした。
俺がついていると妻に言っておきながら、
仕事のチャンスが訪れると妻の介護を娘に任せる夫。
結局長男でも長女でもなく、
定職をもたない次女が、夢を捨てて介護をする。
そんな数々のディテールに
とてつもないリアリティを感じました。
そうそう、
アレックは、
ブルージャスミンの名演も記憶に新しいですね。
酸いも甘いも経験してる男は、こういう役は抜群だな。
演出は王道で安定感があり、無駄が一切ありませんでした。
心情を表すカメラワークやフォーカス表現も絶妙。
監督の力を感じました。
自らもALS(筋委縮性側索硬化症)だった
リチャード・グラッツァー監督は、
この作品が遺作になってしまったようです。
とても残念です。
この題材でまず最初に思い浮かぶのは、
渡辺謙さん主演の名作「明日の記憶」ですよね。
やり手の広告代理店部長が
若年性アルツハイマー病を煩って、
あっという間に落ちていく。
秀作でしたが、
こちらの方が覚書や自分に残すメッセージ等、
共感するところが多かったです。
葛藤をメインにするのではなくて、
病気進行の過程でのヒューマンドラマが、
丁寧に描かれているからでしょうね。
優秀な人程、
進行が早い若年性アルツハイマーは、
その苦悩は計り知れないものでしょう。
記憶を失うということは、
自分が自分でなくなってしまうということ。
スピーチの中で、
「記憶を無くしていく中でも、幸せな瞬間がある」
その主人公の力強さに、感動せずにはいられない。
記憶はかけがえのない財産なのに。
果たしてそれを自分は受け入れられるのか。
身内がそうなった場合、どんな対応が出来るのか。
4人に1人が認知症にかかる日本。
決して人ごとではないテーマに、
いろんな立場の人が、
自分に投影して考えさせられる映画です。
最後の「STILL ALICE」のスーパーの意味は、
それぞれ想いが違うと思います。
自分なりに考えるは、
いいかもしれませんね。
おざなりな言い方だけど、
人生の気づきをもらえるのも、
映画の魅力のひとつ。
観るべき秀作です。
介護する家族の姿に自分を重ねて
まるで英語教材かのような明瞭なアクセントでスピーチをする大学教授のアリス。しかし、その彼女がアルツハイマーに犯され、徐々に記憶も発言も虚ろになっていく…。話し方ひとつ取っても発症前後のアリスのギャップをジュリアン・ムーアが見事に演じている。
だが、私がまだ30代であるためか、はたまた男性であるためか、病気と闘うアリスの姿よりも、介護をする彼女の家族、特に夫の姿に自分を重ねて本作を鑑賞した。
アルツハイマーと診断された妻を想う夫。「僕がついている」と力強い言葉でアリスを支えるも、徐々に進行していく妻の病状に次第に疲労と困惑の色が隠しきれなくなる。助けたい、支えたい、けれども、介護のストレスから生じるさりげない言動が妻を傷つけてしまうことがどれほど悲しいものか。「癌なら良かった」というアリスの言葉が介護する側の心に重くのしかかる。
この作品はきれいごとを述べていない。アリスの闘病はもちろん、家族や仕事との関わりも描き、あくまでもアルツハイマーと闘うある一組の家族の姿を描いていることに本作の価値がある。努力しても悪化していく家族の姿を見る事はどれほど辛い事だろうか。仕事と介護の両立が困難になっていく中、夫がある選択をするラストはアリスも望むものであったと願いたい。
自分が自分であるために。人生を考えさせられます
高名な言語学者が若年性アルツハイマー病を発症し、徐々に記憶を失っていくさまを描いた作品。第87回アカデミー賞主演女優賞と第72回ゴールデングローブ賞主演女優賞をジュリアン・ムーアが受賞しています。
ジュリアン・ムーアのアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演女優賞には依存ありません。物語冒頭の颯爽としたアリス、終盤の徐々に子供になっていっているアリス、その“二人の”アリスを、ジュリアン・ムーアが非常に上手く演じ分けています。とりわけ、表情ですよね。颯爽としていた頃は自信に満ち溢れた表情ですが、終盤は、自信なさげで戸惑っているような表情を示しています。
それにしても、若年性アルツハイマー病は容赦無いですね。実際の病気を、この映画で、どのくらい正確に描写できているのか判りませんが、どんどん病気が進行していって、ちょっと前まで何とも無かったことが今は出来ないなんてなっている。アリスが「私が私で居る間に」と言う事を言っていますが・・・、本当にそんな感じで悲しいです。しかも、自分が自分でなくなると、最後の“セーフティーネット”として準備していた装備品も使えませんでしたからねぇ。
いい作品です。何で上映している映画館少ないんですかね?
現実味があり考えさせられる映画
若年性アルツハイマーで記憶力を失う言語学者と家族の
生活を描写する映画は、ちょっと暗い話しで、どうかと
思いましたが、みたら、配役がよく、登場人物達や生活風景が
めぐまれた家族のもので、眼にやさしく予想外に良い映画でした。
「セッション」よりよかったと思います。余韻が残ります。
いわゆる典型的なハリウッド映画でなく、アクションや悪者との
相克がでなく、痴呆症さえ発病しなかったら、恵まれた
女性として最高の人生をおくってコロンビア大学教授女性の
変貌と家族とのやりとりを、きれいな海やNew Yorkの
町並みの景色を背景にうつしています。
学者としての地位、やさしくイケメンで優秀な医者の夫、
3人のすばらしい子供達、広い住居と別荘と、女性として
すべてを手にいれたアリス。彼女が、勝ち取った知識と語彙の
豊富さを記憶の消失とともに失い、尊厳を失っていく話は、
誰にでも、老いたら起こりうる事として、自分や家族がそうなった
ら、どうしたらよいのか、考えさせられました。
私自身、両親が老いとともに体力と知力を段階的に失い、記憶も
弱くなってきて、このごろは、前の日のことも忘れるので、訪問する時に、用意してあげた食事の日付と内容のメモをつけて冷蔵庫にいれ、かつテーブルにメモをかいてあげるこの頃なので。人は無力の赤子から、自立した大人になり、老いとともに、体力と記憶力が退化して、赤子のように人の世話が必要になるのでしょうか。その時に献身的な家族がいたら、より幸せな老後だといえましょう。アリスの様に、メモを沢山用意したり、将来の自分へのメッセージを残すのを老前準備に入れるのもよいかも知れません。
「アリスのままで◯◯◯」の◯◯◯にどんな言葉を入れますか?
さすがのジュリアン・ムーアですねー。「迫真の演技!」とか「すごい役作り!」とかそういうとこで勝負してないカンジが良かったです。脚本や演出に依るところも大きいと思うんですけども、ただただ感じ良くて聡明なお母さんを体現していて、観客はアリスを好きになりますよね。
「観客がアリスを好きになる。」この映画のけっこう重要なポイントだと思いました。
この映画、若年性アルツハイマー病を“社会派”的に取り上げてる話じゃないです。また、いわゆる典型的な難病モノとして、死に別れの悲しさで泣かせる話でもないようです。そういう「大きな話」に意図的にしていなくて、これはたぶん、「アリスという人に、観客を寄り添わせる話」なんでしょうね。だから「観客がアリスを好きになる。」ってのが重要で、そうさせたら勝ちって映画だったんだと思います。
観てる途中はですね、どんどん記憶をなくしていくこれからの自分に対して、アリスが仕組んだある仕掛けがあるんですけども、その是非について考えさせる映画なのかなーと思ったんです。その仕掛けをする自由が、人にはあるのか?そんな話だったのかなぁってエンドロールの最中も考えていたんです。人間が人間であるために必要なものと、自分が自分であるために必要なものの違いについてとか。
そういう思考を保留にしながら映画館を出た時に、前より天気が少し良くなっていて、
ふと、「おし、今日からもっと精一杯生きよう。」という気持ちになったんです。
そしたらもう、テーマだのメッセージだのはどうでもよくなっていましたよ。あぁ、こういう映画の楽しみ方もあるんだなぁって思いましたね。そんな映画でした。
「アリスのままで」ってタイトルにどんな言葉を続けるか?
「アリスのままで、できるだけ生きる」
「アリスのままでいられるうちに死ぬ」
「アリスのままでいたいけど、もうムリ」
「アリスのままでという扱いで接し続ける」
いろいろ当てはめて考えていたんですけど、そもそも原題は「Still Alice」。
だったら「アリスのまま」って直訳ですよ。「で」が余分だったんです。
どうなろうと彼女は「アリスのまま」ってことですよ。
彼女自身に記憶が消えても、誰かが彼女の記憶をもって彼女のそばにいるならば、彼女は「Still Alice」ってことなんだなと思いました。やっぱりね、アリスという人に寄り添うことで感じる映画なんですね。
何の話だかわからなくなってきましたね、たぶんこれは愛の話です。
俳優陣が素晴らしい
アカデミー賞主演女優賞を受賞した
ジュリアン・ムーアはもちろんのこと、
アリスの家族を演じた俳優陣も
素晴らしかった!
プライドが高く、完璧主義の長女を
演じたケイト・ボスワーズ。
みんなに反対されてるものの、
夢を諦めない、いかにも末っ子な
次女を演じたクリステン・スチュワート。
今回は女優陣に賞賛を贈りたいと思う。
アカデミー賞の報を聞いて、絶対観ようと思ってたけど、ちょっと迷って...
アカデミー賞の報を聞いて、絶対観ようと思ってたけど、ちょっと迷ってた。
自分の身に、いつ起こっても不思議ではない事態。
自分が自分でなくなるなんて、怖すぎる。
アリスのスピーチに、家族の接し方に泣けました…
苦しんでるんじゃない、闘ってるんだ。
自分が自分のままでいられることの幸せを、噛み締めます。
でも、アリスにあるものが自分には決定的に欠落してる。
色々考えさせられますが、不思議と穏やかな気持ちになれました。
愛する夫と成人した3人の子供に恵まれたコロンビア大学の言語学の教授...
愛する夫と成人した3人の子供に恵まれたコロンビア大学の言語学の教授をしている50歳の非常に聡明な女性が若年性アルツハイマーになる話。
闘病ものなので徐々に病気が進行する中で主人公に次々と悲劇が起こって暗くなる…って感じを想像するけど、視点が主人公だからか、そこが強調されてはおらず、家族の関係の変化が印象的。
いくつも泣けるポイントがあります。実際、終わってからもすぐに立ち上がれない人も結構いたっぽかった。
昔からジュリアン・ムーアは好きな女優さんやったけど、ここまで大女優になるとは。良いわ〜。
映画を字幕なしで観られる英語力は確実にないと断言できるのだけど、美...
映画を字幕なしで観られる英語力は確実にないと断言できるのだけど、美しい言葉は不思議と字幕が無くても心に入り、涙が出る。ラスト5分、そんな体験を久々にしました。
『抜け落ちていく何か』
主演女優賞のジュリアン ムーアの演技はさすがで、それだけでもこの映画をみる価値があります。
個人的には家族の寄り添い方の変化がもう一つの見所ではないかと思います。わかりづらいのですが、そこに『抜け落ちていく何か』が描かれています。一見、献身的なのに冷たく暗くなっていく家族との人間関係や偽善者的な振る舞いやその表情の変化、そして全体を通して愛とは、人間としての尊厳とは何かについて静かに問い続けている姿勢に作品自体の質の高さを感じました。
いわゆる日韓映画で使い古された、お涙頂戴的な家族とのお別れストーリーを期待すると肩透かしを受けます。
僕は本当の意味で家族をちゃんと愛せているのだろうか。真っ直ぐ向かい合っているだろうか。自分に問い掛けてしまいました。
ココロに染み入る作品でした。
家族性アルツハイマー、っていうアルツハイマーの中でも稀な病気にかかってしまった女性教授の物語。
病気の怖さというよりも、記憶がなくなるのを自分は許せないけど、記憶のある今は精いっぱい生きること、病気にかかることはどうにもならないこと、っていう現実を静かに描いています。
単調なピアノの旋律もとてもいい。
トンデモ映画にも結構出てるジュリアンムーアだけどやっぱり名優でした。高慢ちきな女優の役もぶっとんでたけど今作は全編でずっぱり。アルツハイマーで記憶がなくなっていく様をさりげなくしっかりとみせてくれました。
いい作品でした?
いい映画だけと泣けなかった
泣く準備をして映画館で。
演技力があり、家族愛は伝わってきたけど、視点がどこから観ていいか分からず、感情移入できなかった。
それぞれの葛藤がある感じだけど、各自の想いがあまり伝わってこなかった。
昔観た韓国の頭の中の消しゴムも似た内容だったと思うけど、そっちの方がボロボロ泣けた。
難しい役どころだと思います。
今作品のジュリアン・ムーアが若年性アルツハイマー、エディ・レッドメーンがALS、今年のアカデミー主演賞は男女ともに難病患者を演じた役者が獲得したのは偶然なのでしょうか?
ただ主演女優賞のジュリアン・ムーアも男優賞に負けるとも劣らず、圧巻の演技でした。 難しい役どころだとは思います。
決してハッピーエンドでは終わらない悲しいストーリーですが、いろいろ考えさせられる作品でした。
全143件中、101~120件目を表示