「なんだこれ…」罪の余白 flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
なんだこれ…
2作続けてこのタイトルになるとは(笑)
芦沢央の原作がとても良かったので、映画も見てみたいとは思っていた。が、予告映像でとんでもない駄作の予感がひしひしとしたので見送っていたのだが…今回、意を決して見てみた。
結論。
予感を裏切らない駄作。
俳優陣の演技はまともだが、シナリオがもう目を覆いたくなるほどグダグダ。
原作では木場咲は自意識過剰で鼻持ちならない嫌な女ではあるが、決してモンスターなどではない普通の少女で、だからこそ加奈の日記に怯え、安藤の仕掛けたトラップにハマってしまうのだが、映画では恐ろしく沈着冷静で頭脳も抜群なモンスターじみた女子高生に設定が変更されている。
予告映像でも安藤vs咲の心理戦、みたいな紹介のされ方をしていたので駄作の予感がプンプンしたのだが…
実際見るとさらに酷かった。
咲は小憎らしげに辺り構わず挑発して回るだけの頭空っぽの少女でしかなかった。
頭が良ければ、あのシーンで早苗を挑発する意味はゼロでリスクを増やす要素にしかならないことも分からないバカ女。
後半の、安藤が校舎に忍び込んできたシーンも、ことさらに安藤を挑発する意味が分からん。
いやほんと、咲は何がしたかったのか?
自分にかけられた嫌疑を晴らしたいのだったら、早苗や安藤を挑発する意義がないどころか逆効果だし、安藤を社会的に葬ることで自分の危険を排除したいのだったら、校舎のシーンではさっさと通報すべき。いやその前に、殴打された時点で告訴しておけば済む話じゃないか。
原作では加奈の残した日記がキーになるのだが、映画では咲が日記の存在を恐れていないので、話を展開させる軸を失ってしまっている。
なので最後に安藤が咲を呼び出すなんていう工夫の欠片もないシナリオになっていて、観客に「なぜノコノコ行く?」という疑問を抱かせてしまっているし、最後の咲の行動もまったく意味不明。
これまで何にもまったく動じる様子がなかった咲が、「マスコミに言う」という一言で豹変する理由が分からん。そんなの最初から考えてなかったの?バカなの?(笑)
そのクライマックスも、何も説明していないので、安藤の意図も咲の気持ちも、何一つ分からないまま観客は置いてきぼりを喰らう。
元々心理描写のウエイトが非常に高い原作なので、映画化するのは困難だとは思っていたけど、これをきちんと映像化する知能が制作陣になかった、ってこと。
悪役として強調したい気持ちは分かるが、