劇場公開日 2019年7月12日

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「賛否両論とあったが、正直否の理由が全く理解できなかったくらいいい作品だった」トイ・ストーリー4 you takaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0賛否両論とあったが、正直否の理由が全く理解できなかったくらいいい作品だった

2022年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

知的

賛否両論という意見を見たので若干穿った見方をして本作を見てみたが、特段非難すべきところがなくとても楽しめた。

初っ端からのボーと羊たちだけが引き離されるという展開があったが、いわゆる闇落ち展開からの、つらい経験をした女性は強く逞しくなるという描画、現代の女性像として表現しているのが良いなと思った。きっと20年前では逞しい女性が頭でっかちの男たちに潰されるということがあっただろうが今の時代だからこそ表現できた事なのではないかと感じる。
井の中の蛙の勝気のお姫様が不可抗力で自分の力で生きていかなければならず何年も経過して自分のスタイルを見つけて勇ましく生きている姿、自分はまずここで惹きつけられた。

ウッディも正直可哀そうな立場だと思う、アンディから大切にしてと託されたけれど、ボニーからすると貰った一つのおもちゃでしかなく、好みじゃないから遊ばれなかっただけ、ボニーが作ったフォーキーというおもちゃには思い入れがあるのでボニーはフォーキーを気に入っているが陰でフォーキーを成長させたのは間違いなくウッディだった。

私事だが、ある店舗でバイトをしていた時に、当時の店長などからは良くしてもらっていたが、経営者が変わるからと経営層がごろっと変わった際に、新しい経営層が私のことが気に入らないようで邪険な扱いをされ、新しい経営層が雇った新人たちは良くされていた。私としては前の店長などに恩があったので数か月働いたが結局新しい経営層とどうも上手くいかず「お前は前の店長たちから託されたから使ってやっているが正直俺はお前を使いたくない」と言われてあっさりとバイトを辞めた経験がある。
その経験とウッディの立場が重なって共感しかなかった。

今までのトイストーリーシリーズから人格が変わったとかいう感想を残している人は多分人生経験が浅いんだろうなと正直思う。環境が変われば人格なんてものは変わる。
今までアンディというウッディにとっての良き持ち主の元で良くしてもらっていたからここにいたいと思っていただろうけど、自分の事を無視する新しい持ち主だから自分は必要ないのではないかと考えるのは自然の事だと思う。
ウッディにとっての幸せは自分の事を無視する新しい持ち主の元にいることではなく、紆余曲折あったがボーという長年の仲間と新しい道を進むということだったのだろうと思う。

仲間たちとの別れがあっさりしているとかいうコメントあったが、ウッディ以外は新しい持ち主に選ばれていて、選ばれなかったウッディが今の状況を辞めたいと思ったときに、「もっと頑張れよ」とか「これから巻き返せるよ」とか言える奴は昭和精神が抜けてないんだろうなと思う。自分の幸せは自分で掴めよというのが今どきの考えだろうと思う。

バズが自分の信念がなくなったという意見もあったが、相棒のウッディから「自分の声を聴けよ」と言われて、俺もやってみようというウッディに対する信頼感があったのではないのかと思う。
バズに関してはランダム(?)な自動音声だったのでウッディとは違うかもしれないがそこも相変わらずおちゃめなバズだったと思う。

シリーズ通してキャラたちの個性を考慮したり、時代を考えると本作の何が悪かったのかが理解できなかった。時代に取り残された精神的老害たちや変化を嫌う昭和精神の人たちが声を上げただけなんじゃないかと思う。

思い入れのあるトイストーリー2の次に本作が面白かった。
感動がないからと本作を低評価にしている愚か者がいたが、私は3の方が安直なお涙頂戴な気がして好きではなかった。
涙を流せるからいい作品という訳ではない。自分が涙を流したから自分にとってはいい作品だと思いたいと思い込んでるだけ。

本作はいろいろな所に考えさせる要素のあるいい作品だと思った。(初期不良というなのハンディキャップや様々な人種のキャラを登場させたり等々)
本作は当時トイストーリーやトイストーリー2を見ていた子供たちが大人になって考えさせられる作品なんだろうと思う。本作だけを見ただけで云々言っていいものではないと思う。

you taka