「あの名作(迷作?)に似ている?」トイ・ストーリー4 ヨシアニさんの映画レビュー(感想・評価)
あの名作(迷作?)に似ている?
本作は、過去作の1,2,3のすべて(コンセプト、テーマ、ストーリー、ブレないキャラがブレない範囲で成長する)をしっかりと踏襲し、様々な側面で矛盾がないよう細かく丁寧に設計されながらも、レゴ・ザ・ムービーを代表とするフィル・ロード&クリス・ミラー作品を彷彿とさせる高速かつ高難易度(?)のくだらなさで、理解を超えた謎の展開が繰り広げられます。そしてラスト、本シリーズが23年の月日をかけて積み上げてきたことのすべてが一瞬でぶち壊された、と感じる方が多いのも納得できる"暴挙"が起きます。しかしこの作品が凄いのは、その"暴挙"が、実はここまでの謎展開の伏線になっており、しかもその"暴挙"が、そもそも本シリーズが一貫して提起し続けてきた根底にある問い(=おもちゃとはそもそも何なのか?)について逆説的に最新の解釈を観客に提示したことです。ピクサーの創造性、英断に唖然し、圧巻され、感動しました。
なにか近年、こういう状況になった映画があったような、、?と考えてみましたが、あれですね。スターウォーズ。EP8です。シリーズの本質に迫りながらも、シリーズを通して積み上げた全てをぶち壊し、シリーズのみならず過去作の解釈すら改ざんし、それを絶賛するマスコミと原理ファンが激突し、シリーズ原作者は絶賛した、という。
そう捉えると、スターウォーズEP8が好きな人は本作も気にいるのでは?と思いました。逆にEP8が受け入れられなかった人は、本作を受け入れられないかも知れません。
ただ、ここは声を大にして言いますが、本作に感銘を受けた人は聡明で寛容だとか、受け入れられない人は幼稚かつ理解力が乏しいとか、そういうことを言いたい訳ではありません。好き嫌いが出やすい作品になるよう、巧妙に、繊細に、大胆に、曖昧に作られているということです。本作は1,2,3と異なり「正しさ」を観客に押し付けることを意図的に放棄した作りになっています。
なので、同じ箇所を同じ理由で支持したり非難したりの議論が起こっている。映画の醍醐味の一つと言えるでしょう。
しかし、こんなことを、スターウォーズやトイストーリーの規模でやる。凄まじい時代に突入しています。ディズニー。。