「北欧たったふたりだけの特捜部Q」特捜部Q 檻の中の女 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
北欧たったふたりだけの特捜部Q
ベストセラーの北欧ミステリーを、本国デンマークで映画化したシリーズ第1作目。
北欧ミステリーと言えばハリウッドでリメイクされた傑作『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』もあり、こちらも面白そうだと思っていた。
捜査中に部下2人を殉職と重傷を負わせてしまった刑事カール。復職後、新設された“特捜部Q”へ異動に。
この“特捜部Q”の主な仕事は、未解決事件の書類整理。言わば、窓際部署への左遷。“陸の孤島”と呼ばれる日本の某刑事ドラマの○○係みたいな。
やる気ナシだったが、ある一件の事件が気になり出す…。
5年前、女性議員が失踪した事件。自殺と処理された。
唯一の助手アサドと共に事件を調べ直してみると、不審な点が幾つも。
解離性障害の弟。
その弟とフェリーに乗った数々の目撃証言。
謎のレインコートの人物。…
それらから、女性議員は生きてるんじゃないかという推理に辿り着く…。
実は本作、サブタイトルでネタバレしちゃってる。
“檻の中の女”。
ハイ、そう、女性議員は生きていて、5年間も監禁されている。
2人の捜査で次第にそれが明らかになっていく…と言うより、犯人探しのミステリーと女性議員が監禁されるまでと今の状況が交錯して展開。
監禁されてる恐怖感はあるものの、女性議員は生きてるのか否かの緊迫感には欠け、また、犯人はかなりのイカレ野郎だが、その動機はちと弱い。
全体的にかなり地味でもあったが、ミステリーとしての醍醐味はあり、なかなか上々。
この地味目の作風も、日本や欧米とは違うミステリー・ムードも悪くない。
捜査権限無いのに捜査しちゃうってのが、どうしても○○係を彷彿。
仏頂面のカールと人当たりのいいアサド。
まだ“○○”と呼ぶにはちぐはぐだが、2人の次なる捜査もこりゃ見なくては!