「トイレのピエタ」トイレのピエタ misakiさんの映画レビュー(感想・評価)
トイレのピエタ
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初めて劇場で一人映画した。一つ席を空けて隣の女性が開始30分も経たない頃からずっと泣いてたけど私は泣きポイントが分からず、比較的感情的な方だと思ってたのに泣けない自分は冷酷なのか何なのかと…。でもよーじろー演じる宏の言葉一つひとつ、動作の一つひとつが映画の終わり宏の人生の終わりに向かってとても重みを帯びていくのを感じた。画家を諦め世界を諦めていた主人公が不運にも癌になり、世界を恨み運命を恨み…そんな中で初めてプライベートなスペースをズカズカ犯して、心の琴線に直接素手で触れてくる真衣や田中さんという人間と出会う。嫌がる宏だったが彼女らのお陰で徐々に事実を受け止め人生に向き合っていく。宏が命を削って描くトイレのピエタ。とても深かった。田中さんのカメラに残っていた宏の生の軌跡。最期の言葉。真衣の横顔が映って画面が真っ暗になりエンドロール。歌に入った瞬間、自分でも何でだか分からないけど涙が溢れてきました。久々にしゃくりあげる程に号泣。それは「もっと生きたかっただろう」とか「苦しかっただろう」とかからではなく、よーじろーとこの映画が溶け合った繊細な綺麗さに心が身体が震えたからです。終わった後は主題歌"ピクニック"を聴きながら余韻に浸って帰宅。誰かと映画について語り合いたくなる気持ちもあるけど、胸にずっと秘めておきたくもある、そんな映画でした。
はじめてしがみついた この世界の袖
振り払われようとて 握りかえしたよ
僕らは奇跡にも 及ばない光
それならいっそ僕ら それならいっそ僕ら
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