「とても良い」幕が上がる sntr6さんの映画レビュー(感想・評価)
とても良い
素晴らしい映画でした。
ももクロのことはほとんどわかりませんが、楽しめました。
で、忘れそうなため、まずはマイナスポイントからですが、せっかく余韻のある映画なのに、エンディングが彼女たちの持ち歌になってアイドルに戻ってしまうのはもったいないなと思いました。彼女らは、女優として女子高生を演じ切れていたのだから、あえて現実に引き戻すこともないなと。なにより、ドラマ的に文字通り「幕が上がる」直後ですので、彼女らが舞台上で演じている想像を遮られるような感覚になりました。
また、その直前の県大会における、各有名な方々の出演ですが、それまでの関連性がないため、こちらもどら目の連続性が寸断される印象でした。
あと、有安さんと玉井さんの和解のシーンで、学校の渡り廊下の上のベランダみたいなところで語り合う場面がありましたが、その後ろで狂ったように踊る女子高生が、見きれているシーンですが、カメラ割りのたびに現れるので、辟易と言っては言い過ぎかもしれないですが不要に思いました。これが一度でしたら、「あーいう生徒もいる」という世界観の広がりに見えたのですが、複数回の登場で「ネタ」と「会話に集中できない」といった負の側面が出てしまったように思えます。
まあ、これらが瑣末に思えるほど良い映画でした。特に百田さんですが、最初は演技うんぬんより発声法自体に難があるように思われ、「大丈夫かな」と思ったのですが、物語内の彼女の成長に伴い、実にしっくりとしたものに感じられました。いわゆる、物語内リアリティは、彼女の成長に支えられているとも感じました。声の表現技法をこれほどまでに多彩に使い分けられていることに感服いたしました。
また、脚本も素晴らしく思いました。原作ではあまり感じなかった、女子高生特有の「性」に対する不安定な感じとでもいいましょうか、ひとくくりに同性愛とくくれないような、感情が表現されており、まさに劇中で語られていた何だかわからないものが美しく表現されていました。
良い映画に出会えました。