「濃縮された“解れ”と“成長の過程”が堪能出来る作品。」幕が上がる Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
濃縮された“解れ”と“成長の過程”が堪能出来る作品。
本広克行 監督作品。
あの産廃映画「少林少女」「曲がれ!スプーン」の本広監督。
あの産廃映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」シリーズの本広監督。
“良い話”雰囲気で駄目な主人公達を甘やかし。
主要人物達は何もせず勝手に問題が解決。
間違った問題提起から差別的な結論を押し付ける。
インターネットする奴が大嫌い。
意味も無くレールを使ってカメラを動かしたがる。
無意味な描写で物語を難解にする。
…監督名だけで産廃作品の雰囲気を醸し出す稀有な存在。
今回はももクロ主演。
ヤマダ電機の店舗ライブから駆け上がった彼女達。
当時TBSラジオで吉田豪がプッシュしていたのを聞いて興味を惹かれた彼女達。
11年4月に早見あかりが卒業し、同年ドラマ「ウレロ☆未確認少女」を観て安心して。
紆余曲折あって大成したのに……と思っていたのですが。
作品自体は非常にグッとくる出来になっていました。
まず“解れ”と“成長の過程”が堪能出来る点が秀逸。
冒頭は本職のムロツヨシも含めてグッダグダ。
正直、冒頭の集合場面は不安しか無く出来の悪いコント作品を観ている感じになるのですが。
話が進むにつれて明確に成長が感じられる。
特にスポットが当てられるももクロの面々の成長が嬉しい。楽しい。大好き。
完璧な姿では無い…個々の人物は何処かしら“解れ”を持つものの。
登場人物達、皆でそれを補い歪だが心地良い空間を作っている。
登場人物達の総合力が徐々に高まる状況にグッときました。
特に主役である高橋さおりを演じる百田夏菜子。
序盤の役目を押し付けられたが故の困り顔。
からの中盤以降の決意を固めた顔、自身の役割を理解した顔。
たった上映時間119分の中で成長を実感させる程に佇まいが変化していました。
中西悦子演じる有安杏果も良かった。
何処か馴染めない雰囲気を保ち続ける彼女が適任の配役。
周りの面々と交流を深める過程は色々とグッときました。
また、ももクロの面々のカウンターに据えた黒木華も良かった。
演技巧者として配置された彼女がキチンと役割を果たしている。
その他面々との格の違いを明確に魅せている。
登場場面で魅せる演技巧者場面は若干の諄さは感じるものの説得感有り。
以降、見せるお姉さん感はこれまでの作品には無かった新鮮さもあり楽しめました。
彼女無しでは本作が成立しなかった、と言っても過言ではない貢献振りでした。
濃縮された“解れ”と“成長の過程”が堪能出来る本作。
アイドル映画を、“ももクロ”映画を突き詰めた作品。
ももクロ知識が無くとも楽しめるのは確かですが。
知らないと十分には楽しめない程に“ももクロ”カスタマイズされている感じがしました。
近年量産されているアイドル映画の中では頭三つ程抜きんでている出来だと思います。
個人的には、この出来の良さは本広監督では無く、脚本の喜安浩平さんの功績かと。
細かい点も含めて作品全体のバランスを崩さず、ももクロナイズした点は賞賛に値すると思っています。
兎にも角にも少女達の成長譚としても、ももクロのアイドル映画としても楽しめる作品。
オススメです。