「青春映画の傑作・・・アイドル映画??」幕が上がる nyanさんの映画レビュー(感想・評価)
青春映画の傑作・・・アイドル映画??
思春期の刹那的な美しさと切なさを引き出した作品だと思います。青春時代に何かに打ち込んだ経験がある人、大切な仲間を持った人はおそらく端々に散りばめられた青春のエッセンスにグッとくるのではないでしょうか。
グアーっと押してくる感じではなく、静かにそっと心に「青春」と指でなぞられるような非常に心地良い映画です。ハリウッド映画のような娯楽大作的な大きな起伏や爽快感を求める方にはあまりオススメできません。
冒頭はストーリー的にも演技的にもどことなくフラストレーションが溜まるのですが、これは思春期にありがちなやり場のない感情を思い起こさせる効果を狙ってのことなのでしょうか。もしそうなら本広恐るべしなのですが・・・?
中盤からももクロさんたちの演技力の向上と吉岡先生の登場でこの作品は輝き始めます。そして、青春というものどストレートに(これと言った大きな事件の起こらない日常を通すという意味で)題材にしたと思われる本作は、青春の儚さと輝きを表現し、言いようのない爽やかさに包み込み、終幕します
コレを演じ切ったももクロに拍手。ちょっと舐めてました。所々、違和感は感じましたが、それ以上に何とも言えない素晴らしい演技をしてました(魂のこもったという感じなのかな?)。
黒木さんはさすがの名演。料理の塩みたいに映画を引き締め、旨味を引き出しているように感じました。さすが助演賞。ムロさんもいい味出してました。
どことなく哀愁を感じる雰囲気に風景などが撮られてる点も素晴らしい。
ただ、アイドル映画であるためか残念なことに劇中、ももクロの?歌がいくつか挿入される。歌なしのメロディーだけなら良いんでしょうが、これは雰囲気をいくらか壊してしまっているように感じました。特に、傑作の余韻をぶち壊す〆方は如何なものか。あの時の映像は楽しかったですけどね(笑)
それに銀河鉄道の夜の解釈やユッコの苦悩や中西さんの心情の変化などを十分に描けてないと感じる点があります。ハリウッド型の映画を見慣れてる人には理解しづらいと思います。最小限は提示されてるので時間の都合上切ったのでしょうがね。コミカルなシーンを多少切っても描く必要があったように思えました。
アイドル映画と見切ってしまえば気にもならないのでしょうが。この映画、単なるアイドル映画として置くにはもったいない。本格的な青春映画として扱いたいのです