「ももクロファンでなくても楽しめる良作」幕が上がる えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
ももクロファンでなくても楽しめる良作
『幕が上がる』を鑑賞。
ももいろクローバーZ主演で贈る高校演劇をテーマにした青春活劇。
高校演劇の大会は年一回。弱小演劇部のメンバー達は地区予選に敗退し、新たに部長となったさおり(百田夏菜子)は日々悩み続けていた。
そこに現れたのは新任教師であり演劇経験のある吉岡(黒木華)。顧問になってくれるよう懇願するのだが…。
先日の「くちびるに歌を」に引き続いての学生青春モノであるが、間違いなく軍配は今作に上がる。
舞台も設定もそっくりな両作。
中学と高校、合唱か演劇という違いはあるものの展開に大きな違いはない。
今作のももクロはアイドルっぽさを封印し演技に徹している(当たり前だが)。そして意外にも(と言うと失礼だが)演技が良い。しかし「くちびるに歌を」も、生徒達は素晴らしかったのだ。
そう、言うまでもなく大きな差は生徒達を導く教師にある。
今作の黒木華は貫禄たっぷりで、グイグイ引っ張っているようで部員達の自主性を尊重し、モチベーションを高めている。こんな顧問がいて羨ましいと思わせるに充分である。
挿入歌が流れる場面とエンドロールではアイドル映画っぽくなってしまう点と、独白シーンの多用が少々ズルいと感じてしまう点は気になるものの青春モノとしてはかなりの出来。
個人的には終盤、大ファンである辛島美登里が出演していたのも見逃せないポイントなのだ。
感動した。たぶん今年の一番。
他にも役者や撮影が優れた映画があった、本当に近年の日本は質が高い。
でも、これまでは感動が少なかった、2回は見ない たぶん。
でもこれは感動したし、何か買いたくなった、二回以上見るかもしれない。あえて黒木さんや百田さんや撮影の素晴らしさに言及しない。この感動は稀有。